真野ちゃん法度。
仲間と女の子は大切にするべし。(1/15)
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「それでは名前と年齢からどうぞ」
「はい。久保木龍二と申します。28歳です」
「何故、我が社を?」
「どんな小さなことでもいい、誰かのために何かをしたい…そんな原口代表の志に感銘を受けた…といったところでしょうか。困っている皆さんのため、そして、原口代表のために是非僕も、何か役に立ちたいと思いまして」
「そうですか!!いや〜!!私の志に感銘を受けて頂いたとは…なんだか照れますね!!…ところで久保木さん。あなた…医学部を出ていらっしゃるんですね?すごいなぁ!!」
「…全くすごくないんですよ。医学部を出ていても医者になった訳ではないですし。父に決められたレールの上をただ歩いてきたといった感じです。父の言う通りに生きている自分が嫌でして…今回は自分の意思でこちらの面接を受けさせて頂きました」
「そうだったんですか。いやぁ…知的で品もあって、自分の意見もしっかりと持っていて素晴らしい方だ!!…どうだ?皆」
今日は、ここに入りたいという久保木龍二さんという人の面接が行われている。
整った綺麗な顔立ちで、高学歴で、品があり、物腰も柔らかい久保木さん。
眼鏡をかけているせいもあってか、知的な印象しか受けない、素敵な男性。
「ここの大学って…ものすごく頭が良くて有名なところじゃないですか!!すごいですね!!久保木さん!!」
「そんなに持ち上げないで下さい。父に言われた通りに勉強ばかりしていただけのつまらない男なんです、僕は。…それよりも、葛西くん。君は新選組が大好きなようですね」
「はい。大好きです!!」
「僕も大好きなんですよ。時代を大きく変えるまでの大活躍をしたとは言い難いかもしれませんが…彼らの、己の信念を貫いて真っ直ぐに生きた姿は尊敬に値する。とても素敵です」
「…わ…わかって下さるんですね!?嬉しいです!!久保木さん!!新選組について僕と語って下さい!!」
「ええ、もちろん」
新選組について語れる仲間を見つけて、目をキラキラと輝かせる航大くん。
「新選組の良さをわかってくれる人がいるなんて…」と、うっとりとした表情を浮かべている。
「よかったなー、航ちゃん」
「君は作田くんですね」
「ん?そうっすっけどー」
「その漫画…冒険ものですね。好きなんですか?」
「あー、これ?うん。好き」
「僕も好きですよ。一度闘って、お互い認め合った上で仲間になっていくのがとても好きなんです。次は誰が仲間になるんだろうと、ハラハラドキドキしたりして…男のロマンですよね」
「…へー。あんた、インテリっぽいのに漫画とか読むんだー。こんなんくだらねーとか言っちゃうタイプかと思った」
「くだらないなんてとんでもない。たしかに父はそんなふうに言いますが、僕はそうは思わない。こんなに素晴らしい漫画を知らずに生きていくなんて損ですよ」
「まじか。やるじゃん!!最新刊読んだ?あいつ、ぜってー次の仲間に加わるよなー!?」
面接なんて興味ないといった感じで漫画を読んでいた天くんも、久保木さんが漫画の魅力をわかってくれたことで、とても嬉しそう。
珍しく身を乗り出してイキイキとしている。
「あなたは、真野さんですね。紅一点の」
航大くんや天くんのイキイキした姿を眺めている私に、久保木さんが声をかけてくる。
「そうですけど」
「HPの写真で見るよりも、ずっと可愛い人だ」
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まえ[*] つぎ[#]
➣しおり挿入
*Tenn's story*
ねーねーなっちゃん。
続編ではありませんが「真野ちゃん法度。」のその後のお話になります。
真野ちゃんを読んでいなくてもわかるようにはしていますが、読んだ後の方が楽しんで頂けるかと思います。
*既婚者♀(年上)×独身♂(年下)*
Lily.
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