真野ちゃん法度。




下調べは入りにするべし。(1/19)


『せんせい。みれいちゃんは、どうしてぱぱとままがいないの?』


『…みれいちゃんのぱぱとままは、おほしさまなの。おそらからみれいちゃんのことをずっとみてるのよ』





夢を見た。――小さい頃の夢。





『でも、ぱぱとままといっしょにあそべないの、かわいそう』





可哀想って言われるのは嫌い。そう言われる度に、自分は可哀想なんだって、思い知らされる気がするから。





「おい、真野」





腫れ物に触るように気を遣われるのは好きじゃない。私は可哀想なんかじゃない。私は、哀れなんかじゃない。





「おい、真野。聞いてんのかてめー」


「痛っっ…、ちょっと!!何するのよ。この私に消しゴムなんか投げるの、あなたが初めてなんだけど!!」


「朝っぱらからボケーっとしてっからだろ。何しに来てんだてめーは。あ?」





逢坂さんの消しゴムが、私を現実へと引き戻した。…小さい頃の夢を見るなんて、今までなかったのに。変な私。





「何よ。何か用事?」


「何か用事?じゃねーよ。くせぇっつってんだよ、香水。それから何だ、その長ぇ爪は。ほんと何しに来てんだよおまえ」


「はぁ?これも、これも、女の大事な身だしなみよ。受付嬢してる時は、ちょっとネイルが剥げただけでも先輩から注意されたんだから。だいたい臭いって何?あなたの煙草の方がよっぽど臭いんだけど!!」


「へー、真野ちゃんて受付嬢だったんだー。すげーね。顔だけはいいもんね」


「おまえはもう受付嬢じゃねーだろ。過去の仕事に未練があんならさっさと辞めてさっさと戻れ。去れ」


「副長!!またそんなこと言って!!昨日の今日ですよ!?また美玲さんが辞めるとか言い出したらどうするんですかぁ〜…。せっかく皆で頑張ろうって話になったんだからあんまり刺激しないで下さいよ!!」


「ははは!!皆仲良くて活気があっていいな!!真野ちゃんがいるとこう、オフィスが明るくなるな!!やっぱり女の子はいいな!!」





…一瞬でも、ここで働いてみようと思った昨日の私…。どうにかしてたんだわ。疲れてたのよ、そう、きっとそうだわ。







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まえ[*] つぎ[#]
しおり挿入





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*Tenn's story*
ねーねーなっちゃん。
続編ではありませんが「真野ちゃん法度。」のその後のお話になります。
真野ちゃんを読んでいなくてもわかるようにはしていますが、読んだ後の方が楽しんで頂けるかと思います。




*既婚者♀(年上)×独身♂(年下)*
Lily.


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