満開◆誘惑
・[オレが守ってやるよ?](1/10)


「遅いッ!」


腰に手をあてて、下から翔梧を見上げる。


1時間も待たせやがって。

オレは人を待つってのが、なりより大嫌いなんだ。


「ごめんッほんっとーにごめんッ!」


“急いで終わらせて来た”と付け足して苦笑いする翔梧。


息をきらして、部活の格好のままだし…


本当に急いで来たんだろうなぁ


そう思ったら、しょうがなく思えてきた。


「しゃーないな。今回は…仕方なく許してやるよ」


「さすがアイッ!ありがとー」


“クレープ買いに行こ”とオレの手を引きながら歩みを進めて行った。


「何処行くの?」


「んーっと。何処行きたい?」


「オレが聞いてんだよ」


「じゃあ、ネトカでも行こーぜッ。オレ常連なんだ」


「部活帰りに?」


ネトカ常連って…どんだけ暇なんだよ。


心の奥で笑いながら翔梧についていった。









「ネトカで何すんだよ」


「なんかしたい事ある?」


「ない」


「キッパリ言う奴だな」


苦笑いで返された言葉に不機嫌そうに顔を歪めた。


「ただオレはアイと一緒に居たいなぁ、て思っただけ」


照れたように笑って優しく頭を撫でられた。


なんで…頭を撫でるんだよ。


「頭……」


「あ、嫌だった?」


「ううん。まったく」


「なんか捨てネコみたいでさ」


笑いながら未だに撫でれられてるオレ。

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