満開◆誘惑
・[噂なんて](1/10)


「ねぇ、五十崎さんってチョーかっこいくない?」


「思う!だって成績いいし、スポーツセンス抜群だしなにより・・・めちゃめちゃカッコイイ!」


「でもあの人スッゴいタラシじゃん」


「カッコイイからいいんじゃない?」



今。隣の女子高にまで噂の的にされてる五十崎先輩。

確かに男の俺から見てもすっげーカッコイイ。


でも。さっき女子が言ってたようにマジ タラシ。


俺にはどうでもいい事を考えながら教室に向かう。



「おーい。アイ?」


「うわぁ!って、アイって言うなよ」


「いーじゃねーか。成沢 藍稀でアイ!」



俺は俺で、同じクラスのイケメンに懐かれた。

変なあだ名まで……
成沢 藍稀なんだから…

『あいき』とか『なるさわ』とかあるだろ。



「ってか、誰?」

コイツ名前も知らない。

そりゃ、入学してまだ3日くらいだし。


「安西 翔梧。よろしくな!ふつうに『しょうご』って呼べよ?」


女子が見たら喜びそうな、陽気な笑顔。


「よろしく。翔梧」

「よろしくー、アイ」




このあだ名は変わらないのか…


しかも、なんで俺に懐いたんだよ。


「…なんで俺に話しかけるんだよ」

「可愛いのと、かなりタイプだからかなッ」


“かなッ”じゃねーよ。

バカか。コイツ


「………俺、男…」

「知ってる。でも可愛いなぁ〜っておもってさ」

「アホ?」

「違うだろー」

「んじゃ、バカだな」


めんどくさい…

そう思い、席を外そうとする。


「あ、ちょい!待てって!」

「え、あ!」


翔梧が急に制服を引っ張るもんだから視界が急変。

なーんか…嫌な予感。


「ってー…なにすんだよ!今すぐ俺の上から放れろ!」


「んぁ?あ、悪い」


重いし、気持ち悪いし。


「退け!今すぐ退け」

「そんな怖い顔をすんなって。せっかくの可愛い顔が台なしじゃねーか」



………なんだこいつ。


相変わらずどかない翔梧に俺は睨み付けてやった。


翔梧がしぶしぶ俺の上から退くのを確認すると授業サボりのために屋上に向かう。



「あー…気持ち悪い」


サボる気なんかなかったのに。

いいや…寝る。

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