・[君が?](1/11)
「つーか昨日どーしかしたのか?」
「んー…熱」
弥由先輩の恨み代わりにヤられました。なんて
言える訳なくてそっぽを向きながら呟いた。
「ふーん…?」
疑いの目で見られたのはもちろんのこと。
「もう治ったからッ」
「心配したぁ」
「心配して、なんて言ってないよッ」
「いや、だよな」
「いやな…わけないじゃん」
そんな顔されたら。
なんか本音が出ちゃいそうで、なんとなく怖かった。
「あ、もう授業始まるか」
「出るんだ?」
珍しいことがあるもんだ。
明日の天気を心配しながら弥由先輩に視線を向けた。
「体育だからなッ」
「ふーん」
興味なさげに答えると弥由先輩は手をふりながら屋上を後にした。
ちゃんと休み時間に屋上にきたから次の授業はサボろう。
それに屋上からならグランドが見える。
2年の体育の授業はサッカーだから。
「あ…弥由先輩だ」
体操服姿の弥由先輩は初めて見た。
上下ジャージに髪をコンコルドで止めてる。
運動神経のいい弥由先輩だからシュートでもするんだろうなぁ
「カッコイイ」
思わず声にだしてしまった。
「だーれがカッコイイんだぁ?」
赤のフレームのメガネをずらして晟は不機嫌そうに尋ねてきた。
「あれ、晟じゃん」
「五十崎のせいなのによく一緒にいられるよな」
表情はいまだ不機嫌そう。
「言わないでよ?」
「藍稀がそう言うんならな」
「ありがと」
晟はさらに眉間に皺を寄せた。
「なに怒ってんの?」
「さぁな」
「あっそ」
なんで怒ってんの。
不機嫌な晟はやっぱ怖かった。
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