パラレルワールド
☆1日目 (1/10)


「えっと…?」

思わず顔に見とれていたら、子供が声をかけてきた。


「つまり、お姉さんは僕を1週間観察して、僕がこれから生きるかどうかを決めるってこと?」


飲み込みが早い子供だ。
私は力強く頷いた。

すると、少年(僕と言ってたから男だろう)は漫画ででてくるようなきらきらとした目を私に向けた。


「すごい…すごい!小説の話みたい!ねぇ!本当?ねぇ、お姉さんの名前は?」

私はギョッと大きく目を見開いて、数歩後退りをする。


少年の勢いに負けた、というのもあるが一番はこんな反応をされるのは初めてだったからである。

普通、人間は死がせまっていると知り、1週間観察されると知ると、生きることを諦める奴、絶望を隠しきれない奴、生きようと努力する奴…むしろ、私の存在を否定し、追い出そうとしてくる奴までいるのに…


こいつは自分の死どうこうより、自分を殺すかもしれない奴に興味を持って話しかけてくるなんて……



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