抹茶オレ

:[抹茶オレ。](2/5)


夕日、沈みかけ。
冬の独特の暗さ、5時。
鉛色した曇と、
冷たい風と、
ふたりだけの通学路。


わたしの手には
まだあったかい抹茶オレ。



「絵の具、おいしい?」


彼はわたしに聞く。
絵の具じゃねえよ、あほ。
抹茶オレだよ、あほ。
つっこむのは面倒だから、
あえてスルーして答える。

「うん、甘い。」




横に並んで歩くと、
なんだか不思議。
恋人なんかじゃないのに、
二人で歩くとやっぱり
それなりに意識してしまう。
彼はチェックのマフラーに鼻まで沈めて 白い息を吐き出して遊んでる。



かわいいしぐさも、
馬鹿みたいなテンションも、
憎めないのが彼なのだ。



「あ!」



突然、思いついたように声を発する彼。どうしたんだ、なにが起きたんだこの男に。



「俺らってさ、抹茶オレみたいじゃない?」



……意味わかんない。




黙って、(は?)って眉間にしわをよせた顔したわたしに、彼はまた続ける。




「佐藤がね、抹茶でね。俺が牛乳。」



佐藤とは わたしの名字ですが。そしてなぜ抹茶なんだ、わたしは。



「佐藤って俺に苦いじゃん、ぐはは!!」



最後のぐはは がイラってきたけど、確かにそっけなくしてるからな。



「じゃあ、君はなんで牛乳なの?」



わたしの問いかけに、予想外のアホ回答。



「あ、俺?俺、牛乳すきだから!!!」




絶対にばかだ。
こいつ。







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