東方幻想入り〜シロガネノゲンソウ〜

[境界を越えて…](1/11)
突然だが夏といえばなんだろうか?

スイカ割り、海水浴、花火、受験勉強、それぞれ色々とあると思う。

俺の場合は夜の散歩だ。夏の夜にセミの鳴いてる森を歩くのが大好きで自分の中では最早、毎年の恒例行事になっている。

変人だって?よく言われるよ。

まぁ、そんなことを毎年しているが…いきなり雨に降られるのは今年が初めてだ。

「マジかよ…。俺って憑いてるな」

なんて呟きながら来た道を走っていたら茂みの奥に神社を発見した。よく見ないと入口がわからないくらいに雑草が茂っている。

『こんな所に神社なんてあったのか…』とか思いながら神社の鳥居を潜り縁側から建物の中へ。土足なのは許してもらおう。

襖を開けて建物の中に入った瞬間にまず目に入ったのはボロボロのちゃぶ台。そして同じくボロボロの畳だ。どうやら誰も手入れをしていないらしく、なんとなく埃っぽい。

「屋根があるだけマシだな…」

仕方がないのでここで雨宿りをすることにした。

〜一時間後〜

雨音がしなくなった。どうやら、雨が止んだらしい。

帰ってから何をするか、なんて考えながら襖を開けると――

「で、私はチルノに言ったんだ。『私の魔法は百八式まであるぜ!』ってな!」

「その話…もう五回は聞いたわよ」


――二人の少女が青空の下で話をしていた。

とりあえずつっこむ所が多すぎる。さっきまでボロボロだった建物は、襖を開けた瞬間にものっそい綺麗になってたり、天気云々よりも、夜空から青空になってたり。

しかし、俺が最も驚いたことは二人の格好である。

一人目の少女は黒い髪と脇の出た巫女服。そして髪に大きく赤いリボン。二人目の少女は白黒の服にどう見ても魔女の帽子を被っていた。ちなみに金髪。

お、どうやら巫女服の少女がこっちに気付いたらしい。

「あー!あんた!」

いきなりものっそい剣幕で怒鳴られた。

「死ぬ覚悟はできてる?」

初対面で酷い言われ方である。が、俺は自分のしでかした重大なミスに気が付いた。

@土足。(畳の上)

Aどう見ても泥棒です。

いや、状況的に。自分の名誉のために言っておくが、俺は泥棒じゃない。

「うお!スマン!」


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