東方幻想入り〜シロガネノゲンソウ〜

[シロガネノゲンソウ](1/7)
スペルカードが俺の言葉に反応し、澄んだ音を立てて砕け、それと同時に夢想妙珠が俺の身体に直撃――せず、弾幕はまるで実体がないかの様に身体をすり抜け、地面をえぐって消えてしまった。続く二弾、三弾も、更に続く残りの弾も初弾と同じくただ俺の身体をすり抜け、そして消えていく。

いつの間にか、ついさっきまで息をするたびに痛みで悲鳴を上げていたはずの身体が、今では何事もなかったかの様に回復している。よく見てみればかすり傷も消えており、更には身体に溜まっていた疲労も消えている。能力を使う度に起こる頭痛もない。

霊夢を見ると、何が起こったのか理解できないのか狐につままれたような目をしていたが、すぐに先程と同じく目に戻り、身体の前で腕を交差させ、そして消えた。

一瞬後、頭上に気配が現れたが、俺は避けようとはせずあえて動かないという選択を取ってみることにした。この能力が俺の予想通りの能力なら、避けること自体が無駄だ。

できれば少し上を見たいのが男心ではあるのだけれど、もし見てしまった日にはこれから安全な生活ができなくなるのは明らかなので、堪えることにする。

果たして――

「手応えが…ない!?」

――霊夢の身体は俺をすり抜けて、石畳を砕くだけに終わる。

俺は振り向きながら手刀を横に薙ぎ霊夢に反撃するが、すでに守りを固めていた霊夢に難無く防がれてしまった。今度は足払いをかけて体勢を崩そうとするが、これも読めているとばかりに防がれてしまい、大きな隙を作ってしまう。

その隙を霊夢が見過ごすハズがなく、反撃だとばかりに目視できる程に四角く固めた結界で突きを繰り出してきた。今度ばかりは隙をフォローすることができずに霊夢の攻撃を暗い、また吹き飛ばされてしまう。だが、特訓の始めの方で嫌というほど味わったあの痛みも、一瞬で消えてしまった。

ここまでで能力についてわかったことがみっつある。

まずひとつ。この能力は自分の好きな時に適用できるということ。自身が外部の干渉を受けないし与えない能力ならば、俺の手刀は霊夢に触れることはなかったはずだ。

次に、この能力は痛みや疲れをなかったことにしてしまい、自身のコンディションを常に最高にしてくれるということだ。これは相手に接近したり、どうしようもない傷を負わされたりした時に都合がいい能力だと思う。



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