DiD(解離同一性障害)
&[DIDC](1/6)
迷い道
あの破天荒な別性格が現れれば、
泰造との一件同様に
その手のいざかいやトラブルは数々経験してきたはずだ。
その都度あやは自傷行為を繰り返しながらも凌いできたのではないのか…
まさか?
妙な憶測が僕の頭をよぎった。
人格の自己抑制ができなくなっているのでは…
「わたしもあやもあの人は好きじゃない。
だけどあの人がいたから生きてこられた。
あの人がいなかったらきっと野垂れ死んでたよ…」
以前、基本人格的存在のあやたんが言った言葉を僕は思い浮かべた。
すべて対処しきれないことは押しつけてきた。
そうすることによりおのおのの人格は共存してきた。
それが狂い始めたのだ。
表に出てはいけない人格のひとり歩き…

「あやじゃないんだもん!」
「あやが悪いんじゃないんだもん!」
そう叫び続けた彼女…
「てめぇは引っ込んでろ!」
怒鳴りつけられても引くことなく勇敢に事を処理しようとした
いちばん弱虫で臆病者の少女のあや…
しかし彼女にはやはり荷が重すぎた。
だから悲惨なこの結果を招いたのだ。
僕は包帯でぐるぐる巻きにされたあやの手をそっと握りしめた。
(目覚めさせたのはあなただからね)
どこからかそんな声が聞こえた。

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