マイ・ツインレイ
[第二章](1/20)
それから数日が経過した。
今日は、バレンタインを前日に控えた水曜日。
私は台所に立つと、スイートチョコをフードプロセッサーで粉々に粉砕した。
横にある鍋の中には、チョコを溶かすために使う湯煎用のお湯が沸いている。
私はミルクパンの中に生クリームを入れると、それを沸騰直前になるまで温めた。

「ねえ、何やっているの?」

解放していたせいか、アスモデウスが私のやっている事に興味を持ったんだらしく、肩越しに覗き込んできた。

「ん?あんたにあげるチョコ作り。」

手元を見たままでそう言うと、アスモデウスが後ろから抱きついて来た。

「ありがとう。何味にするの?」
「それが問題なんだよ。とりあえず、コニャックベースにするつもりだけど、アスモは何が良い?」
「ん?それで良いよ。」
「解った。って言うか、作業の邪魔だから離れて。」
「解った。」

生クリームが沸騰する直前に火を止め、フードプロセッサーで砕いたチョコを一気に投入する。
小さい泡だて器でミルクパンの中をかき混ぜていると、見る間にチョコが解けていく。
私はチョコが半分位溶けた所で火を止めると、再びミルクパンの中を泡だて器でかき混ぜた。
ほんのりと全体的に液状になったら、横に待機させておいたコニャックを少し注いで混ぜる。
コニャックの種類はもちろんカミュ。
私もアスモデウスも大好きで、二人でよく呑んでいるコニャックだ。
適当に材料が混ざったら、湯煎から下ろし、泡だて器で一気にかき混ぜて空気を入れる。
普段は面倒でやっていないけど、アスモデウスのためのチョコだし、これをやると一気に口当たりが良くなるから、今回は特別だ。
空気を入れている内に、チョコが良い具合に固まって来た。
チョコ作りは基本スピード勝負だけど、ここまでくれば後は安心だ。
小さいバッドの上にキッチンペーパーを敷いて、とかしたチョコをスプーンですくっては落とす。
チョコを落としている間、私はふと湧いた発想に鼻で笑った。



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