マイ・ツインレイ
[第一章](1/4)
『ねえレイ。来月のバレンタインビーナスフォート行こうよ。』
(は?ビーナスフォートって、お台場に有るあれ?)

私の名前はレイ。
お爺さんがヨーロッパ系召喚士のクオーターで、私自身も召喚士として働き、今では使い魔達の能力を使って警視庁直属の心霊探偵をしている。
主な仕事は内偵捜査の手伝い。
歩く防犯カメラと言う感じの能力が有るバッドアイズをターゲットとなる組織の入っている建物に飛ばし、一定期間置いた後迎えに行き、公安さんにバッドアイズが記録した映像を見せるのが日々の仕事だ。
それ以外にも、たまに暴力団対策課や麻薬捜査の手伝いもして、見せしめや治安維持のために何度も組織壊滅をした。
今話しかけてきた声は、その組織壊滅のエキスパートとして私が指名している色欲の魔王アスモデウスだ。
私はこいつの事をアスモと呼んでいる。
お爺さんや同じ召喚士である父から話には聞いていたけど、こいつの戦闘能力は本当にはんぱじゃなかった。
ワンフロアーなら5分以内で皆殺しにし、弾丸だってすっと避けた。
ピンポイントの暗殺だって、霊体の状態ですーーーっと近づいて、あっという間に自身の武器である槍で串刺しにする。
やる気になっていたから、初仕事の時から組織壊滅をやらせているんだけど、仕事ぶりを見るために送り込んだダークバッドアイズの出した映像を見て、逆にこっちが気持ち悪くなる位ぶっ放していたのを今でもはっきりと覚えている。
今でも、多分組織壊滅の時はあの時見たのと同じ光景を再現しているんだろう。
でも、それはアスモが滅茶苦茶戦えるって事の証明だから、私は召喚士として、アスモデウスのやり方は気にしない事にした。
まあ、本当はもうちょっと生存者を増やす方向に持って行けないかと思っているが。
一応主な都合上、アスモデウスが出番の仕事の時はビルの外とかで待機しているんだけど、こいつが仕事を始めた合図は、いつも誰かの絶叫だ。
時々一緒に銃声が聞こえる。
全く、非合法組織だからって、拳銃所持とかってないよね。
もっとも、人間の武器なんてアスモに通じる訳は絶対ない訳で、アスモデウスはいつもきっかり5分後には私の目の前に霊体になって降り立つ。
その時のアスモデウスの姿と顔は、召喚士としての私の誇りだ。
だって、彼は悪魔で、私はアスモの主だもん。
浴びた返り血で体の所々が赤く染まっていて、顔はとっても満足そう。
ほんでもって、アスモデウスいわく「血を求めている。」らしいアスモデウスが相棒と呼んでいる槍も、どことなく満足そうに見える。
アスモデウスいわく、天界の反乱軍に参加する時作ったと言うその槍は、ブラッディーレッドと黒をまとった彼にとって、唯一の白だった。
白、すなわち天使の色。
いつも私は、アスモデウスの槍を見る度この血を求めているはずの槍に似つかわしくないその白の柄と透き通るような琥珀色の刃を持った神々しい姿形に、アスモデウスの天使時代を想像した。

んな事はどうでも良い。


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