【BL】美男と野獣
泉 恭弥(1/9)
『なんかあいついつもお前のことみてね?』
高校生の頃、クラスメイトに大人しくて地味で無口でいつも俯きがちな奴がいた。
見るからに友達なんていなくて、いつも一人でよくわからない分厚い本を読んでいた。
そんな男、泉 恭弥(いずみ きょうや)はいつも俺のことを見ていた。それはもう自意識過剰ではなく確かだった。
教室では勿論、廊下ですれ違えばずっと俺のことを目で追っかけていた。
『泉、絶対お前のこと好きだぜ。』
クラスメイトはそう言って、からかってきた。
男子高だから、泉がホモって言われてもああそうなんだへえって感じだが、自分が好かれているとなると話は別だ。
『冗談きついって。マジやめろ。』
なんて言って、いつも交わしていた。
泉はきっと俺がそうやって、泉を拒否してきたことを知っているだろう。
そして俺は泉のきっと誰も知らない秘密を知ってしまった。
放課後のみんなが帰った教室で、あいつは手鏡を持って、口紅を塗っていた。
俺はあいつの真っ赤な唇を気づかれないようにずっと見ていた。
その姿は本当に綺麗で可愛くて。
でもその姿を見れたのは一度だけだった。
ーーーー高校を卒業してから、7年。
あれから一度も泉に会っていない。
泉は成人式にも同窓会にも来なかった。誰も泉の行方を知ってる奴はいない。
………あいつはどこにいったんだ。
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