下町ビッグノイズ
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舞台の方では吹奏楽部と3年生の男子2人による歌、並びに告白タイムで盛り上がっていた。
キャーキャーという黄色い歓声が聞こえてくる中、舞台袖にいた4人の生徒と先生は円陣を組んで最後の打ち合わせをしていた。
田原「んじゃ、予定変更で1曲目に『空奏電車』を演奏するってことでいいんだな?」
眼鏡をかけた3年生、田原涼太が声をかける。
園田「それでいいと思う」
頼もしい2年生のボーカル、ショートヘヤーの園田芽衣が返事をする。
荻野「私も・・・大丈夫です・・・」
眼鏡をかけ、三つ編みをした2年生、荻野栞もたどたどしさはあるが、確かにうんと頷く。
戸田「右に同じ」
3年生の茶髪ギャルの戸田加蓮も同じように返事をする。
荻野「あっ・・・でも・・・居村先輩。いきなり変えたことを聞いて・・・焦ったりしますかね?」
田原「大丈夫だろ。アイツもこの雰囲気をぶち壊してやりたいという気持ちあるだろうし。すぐに賛同するやろ」
園田「元からノリのいい先輩だから大丈夫よ」
荻野「それならよかったです・・・」
田原「先生、という訳なんで1曲目と最後を入れ替えて、やろうと思います」
田原は社会科の磯島先生に言った。頭をポリポリとかいたあと、呆れたような短いため息をつける。
磯島先生「お前ら。容赦ねぇーなー。俺は一向に構わんが」
田原「んじゃ、この甘ったるい雰囲気。ぶち壊していきましょうか」
『はい!』
初ライブとは思えないほどの落ち着いた表情で舞台へと向かうメンバー。吹奏楽部から戻ってきた居村先輩に事情を話すと「そういう展開待ってました」と言って、ニカッと笑った。
1曲目に『空奏電車』を演奏したことは間違いではなかった。
周りの空気が一変し、全校生徒が先生を含めた6人に釘付けになった。演奏中の音ズレはしていたのか、MCは何を話したかはそれぞれ全く覚えていない。
しかし、ライブを終えたあと。
割れんばかりの拍手と歓声。そして、成し遂げたという達成感だけが誰もが今でも覚えている。
これが初めてのライブ。
そして、バンドの結成のきっかけとなった。
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