ゆめをみたいの。
[12* 人生楽ありゃ当たり前に苦もある ](1/15)






「主役がやりてぇ!!!」

居酒屋で叫んだ21時。目の前には穏やかな顔してわたしを見てる安元洋貴40歳。

今日のわたしは珍しく荒れに荒れていた。理由は追々話すとして明日のことも考えないでお酒を結構なペースで呑んでいる。酎ハイ一杯で酔うぐらい激弱なのに。

安元「今日は荒れてますなぁ、花さん。……枝豆と砂肝とあとこのチーズポテトください」

横目でわたしを見ながら勝手に注文してるし。店員さんベロベロに酔ってるわたしをすごい顔して見てた。荒れてるんだよ、うるさくてすみませんよ。

「主役がやりたいよ〜〜〜アニメでもドラマCDでもゲームでも贅沢言わないから主役がやりたいよ〜〜」

安元「それ保村真何年言い続けてると思う?」

「やっさん同感だよ〜〜〜」

安元「俺も、もう主役はないだろうなって時に鬼灯来たから大丈夫だって」

「鬼灯出してくださいよ〜〜〜安元くん」

安元「そのゴマする手やめろwww あと俺にそんな権限はないwww」

「主役様じゃん〜〜〜キャスティングしてくれ〜〜」

安元「なんなんだよそのキャラwww」

主役がしたい。まだ第一線で活躍したい。レギュラーの作品の主役は10代の若手が増えてきた。10代に限らず最近色んな作品で名前を見る役者とか、もちろん後輩ができるのは大事なことで後輩が仕事を勝ち取るのも大事なことで。

「…………やっぱり、あの役やりたかったなぁ」

ボソッと呟いた一言に気を抜いたら涙が出そうになった。そんなつもりじゃなかったのに。悔しさで胸がいっぱいになる。

大好きな作品があった。普通に好きで、ファンで読んでた原作のアニメ化。主人公やりたいなぁ。いや、主人公じゃなくても何らかの形で作品に携わりたい。

そう思って挑んだオーディション。結果は今のこの状態でわかる通り、だめだった。主人公も他のキャラクターも全て、だめだった。わたしに作品を作る権利は与えられなかった。












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