ゆめをみたいの。
[2*中村悠一のツンデレ事情](7/7)




「中村くん、なんか用だったの?」

中村「用なんかねーよ。ただ外出たらもう暗かったから」


ああ、そういうことか。

全てを悟ったわたしは心の中でありがとうとお礼を言い、中村くんの隣を黙って歩いた。

中村くんは昔からこうだ。わかりにくいツンデレと優しさ。

寒いと言ったらさりげなくホットコーヒーをくれたり、ついでだったからという理由でいつもコンビニで何かを買ってきてくれたりする。

さりげなく優しくさりげなく気を遣う、そんな男なのだ。

彼の策略にはハマりたくないと思いながらもいつもその優しさに少しキュンとしている自分がいる。

くそ、悔しい。肉村のくせに。

そう思いながら隣を歩く中村くんの横顔を睨み付けた。

中村「なんだよ、」

「………べつに。」

またこんな風に、わたしの歩く早さに合わせてくれる。


「中村くん、鍋しようよ」

中村「鍋なー」

「安元おかーさんに作ってもらおう」


ええ、全てはシグマの母、安元さん頼り。

きっと杉田くんは強制参加。たぶん江口くんや信長くんも来るだろう。


「あのさ、さっきのマモちゃんの謎のエールなんだったの?」

中村「あー……なんかたぶん宮野くん勘違いしてる」

「は?」

中村「おまえは知らなくていーんだよ」


そう言った中村くんの顔が少し赤かったのは何故だろうか。

男同士だし、好きなAV女優の話とかだろうと勝手に納得した。


中村くんは結局わたしの家まで送ってくれてお礼を言おうとしたら先に

中村「じゃーな」

と、言われてしまい、お礼を言うタイミングを逃した。

なのでLINEで言ったところ

【鍋いつやる?】

と、話を反らされてしまった。


これも、彼の照れ隠し。



【まずは安元さんに連絡をしよう】

中村【任せた】

その言葉と同時に可愛い猫のイラストのスタンプが来て笑ってしまった。


【なにこのスタンプwww】

中村【自分で買った】


「くっそwwwwww」

暫くツボってたのは言うまでもない。
















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