恋に落ちるその日まで -1st-
[後悔したくない](1/12)
「あっははは!マジ!?俺がトイレ行ってる間
そんな修羅場あったの!?」
「・・・・」
この人は…人が落ち込む間も与えてくれない…
「…僕、俊輔さん嫌〜い…」
「え"!?うそうそ!ヤダヤダ!!ごめんて!!」
まぁ飲め飲めと、俊輔が翼のグラスに焼酎を足す。
注がれるがままに口に運びながら、俊輔が旅立ってから後の出来事を報告していた。
「あの、通路で抱き合ってたカップルだろ?
まぁ、モデルの撮影かっつーくらい綺麗な2人だったなぁ?」
「あ。まだ傷口えぐってくる感じ?」
「あの子はモテるだろ〜?モテる女はやめとけ。
すぐに捨てられる」
「…俊輔さんの経験談は全くあてにならない」
しらっと俊輔を一瞥し、はあっと大きくため息をつく。何だか、最近こんなことばかりだ。
常に気分が晴れない。
あんなに栞のことを想うだけでふわふわしていた気持ちが…今では正直、辛い。
「…ガチで沈んでる?」
「ん…人生の執着地点てこんな気分になるのかな」
「わぉ。まぁ〜翼は俺の経験談なんてって言うかもしれないけど、俺の経験上…考えるのも辛い時は、いったん離れとけ」
「… …あいつに持ってかれる」
「いや、お前が横で見てても行く時は行く」
「ヤメテ…泣くよ?」
テーブルに突っ伏し、半分溶けかけたグラスの氷をカランと揺らした。
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