恋に落ちるその日まで -1st-
[告白](1/12)
『今日は知り合いと食事して帰るね?
あと、あいつと話したよありがと』


お昼過ぎ、翼からそんなメッセが入っていた。

本郷とは良い話ができたのか


ーありがとうってことは、誤解が解けたのかな?


2人が並んで話をしている姿を想像し、何だか心が温かくなる。
翼が本当に、ひとりぼっちじゃなくて良かった。

遠く離れていても、戸籍上の親子ではなくても
肉親と呼べる存在があるのは心強いのだ。


「ふふふっ」


また、今夜聞いてみよう。
今回は話してくれるだろうか?

うわべだけでもいい。
翼がどんな気持ちでいるのか


あの笑顔を見せてくれるといいな。



ふと腕時計に視線を送る。
と、すでに終業時間を回ろうとしていた。

待ち合わせは1830分に駅前で。
恥を忍んで、ぜーーーったいにイジられるのも覚悟の上でほどよくお誕生日感のあるレストランを美玲に尋ねた。

あまりカップルばかりのお店も避けたいという栞の要望から、以前、美玲のいる総務課でも使ったことのあるダイニングレストランを紹介された。

個室は緊張してしまうため、程よく仕切られた空間が良いとの栞の意図も汲んでくれたようだ。


ー持つべきものは美玲様!


紹介する交換条件は、今夜のことを一部始終報告する事!との条件だったが


ーご飯食べるだけだっての


ナニかを期待してしまうほど身の程を知らないわけでもないし、彼を理解していないわけでもない。


ー神崎さんに限って何もないでしょ。



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