恋に落ちるその日まで -1st-
[本郷の教え](1/13)
ファッションクリエイターの本郷忠臣(ほんごう ただおみ)と言えば、この業界で知らない者はいない。
今日はそんな大物アーティストとの初の対談。
とあって…
「緊張し過ぎて…吐きそうです」
「…吐くなよ」
「例えですよ!例え!!」
「…あ、そ」
「む〜…神崎さんは緊張しないんですか!?あの!本郷忠臣ですよ!?」
緊張からテンションがおかしくなっている。
対談は栞と神崎が担当することとなっているのだ。
会場となる応接室に隣あって座り、本郷を待ち構えていた。
隣に座る神崎に八つ当たりするように、じとっと横目に見上げる。
「緊張、するけど…仕事だしな」
「っ!?そ、そーですよ!お仕事ですから緊張してらんないんですぅ!」
「・・・とにかく落ち着け」
「・・・はあぁぁ〜。ですね。落ち着きます…」
「対談なんて初めてじゃないだろ?」
「初めてじゃないですけど…今日はあの本郷忠臣なので!本郷忠臣、素敵じゃないですか♪ご本人がモデルのようにスマートで、洋服ももちろんですけど着こなしも素晴らしいですし、なんと言っても…
爽やかなイケメンです!」
栞には珍しく、語尾にハートマークが付く。
やや興奮気味に神崎に本郷忠臣を語っていると、ふいに笑いを含んだ声が響いた。
「あはは、それはどーも、ありがとう。お嬢さん」
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