恋に落ちるその日まで -1st-
[なかよしの先](1/12)
あんな顔して
誤魔化せているとでも思っているのか。


ーわっかりやすぅ〜


昨夜はもやもやして熟睡出来なかった。
午前中は講義もバイトもなかったが、栞の朝食を準備して笑顔で見送るために、眠い目を擦りながらベッドから出た。

起きなくても良かったのに!と栞は言ってくれたがそうはいかない。
居候で食事担当として家賃を免除してもらっている身としてはという建前の元


ーまた夜まで、しおりさんに会えないんだから


と、密かに思うのだ。

昨夜はホストごっこでテンションが上がり、夜更かしをしてしまったためか、朝から何度か栞があくびをしていた。


ーかっわ


つい、顔がゆるんでしまうが、そこは居候精神でぐっと耐える。


神崎のことはその後何も聞くことはできなかった。
栞は何もないと言ったが、何もなければ
あんな泣きそうな笑顔、するはずがない。

『翼には関係がない』

と言われている様で正直ショックだった。が、何かを言えた義理ではないのも確かだった。

なぜあそこで神崎が関係していると思ったのかは我ながら不明だが、おそらくそれは

あの日以来、自分が神崎を意識しているから。

栞が飲み会で体調を崩し、神崎に支えられて帰ってきたあの日。
神崎は栞の寝室の場所を知っていた。

栞に確認することもなく、そして迷うこともなく
知っていたのだ。

栞から聞いた限りでは、仲の良い同僚というわけではなさそうだ。
どちらかと言うと、仕事的にはライバルのような存在で、プライベートでの関わりもないと。


ーじゃ、何であいつの名前聞いて
あんな顔するわけ



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