三波くん(1/21)
「ご心配をおかけしてごめんなさい。」
「え…あ…徳永さん、だよね?」
「はい。」
何だろう。教授の顔が戸惑ってる。
「…どうしたんすか?」
すると、何故か三波くんの声も聞こえた。
「ああ、そうそう。頭から血が出ちゃってて、それを取るのに顔を拭いたんだんけど、徳永さん、あなた…」
白衣着た女の人がカーテンの内側に入ってきた。
間違いなく、この人は保健の先生だ。
え、待って、今顔を拭いたって…
「いやーーーーーー!!」
それはつまり、今私はすっぴんであると言うことで。
急いで、布団の中に潜り込んだ。
教授に見られた。
見られた。
見られた。
あれ、てことは、保健の先生にも。
いやーーー!
「あ、えっと…とっ徳永さん?」
教授は私が叫びながら布団に潜り込んだことで、余計に戸惑いを隠せず、タジタジになっている。
あれ、さっき、三波くんの声もしたよね?
え、待って、見られた?
え、やだ。
やだやだやだ。
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