LAST SHELTER


ー20ー (1/1)










犠牲って……




犠牲って……何だよ……









松島「お……愚か……だね……。ひ、人……なんて……結局……愚かな……生き物なんだ……。」






背後から聞こえる

床に倒れたあの男の

弱々しい雑音……





宏明「だ、黙れ……。まだ生きてたのか。」


松島「し……しぶとい……性格でね……。これだけは……言っておくよ……。き……君に…………予言した……ことは……この世界線の事じゃない……。」





……世界線……





宏明「もう……やめろ。」


松島「き、君は……知るんだよ……。本当の……自分を……ね。」





本当の……自分?






次の瞬間


サイレンの様な警告音が室内に鳴り響き

なにか空気が排気される様な音が

シェルター内から聞こえてくる。










[危険です。今からシェルター内にガスが注入されます。離れて下さい。危険です。]











宏明「っ!?」





ドクッ!!



ドクッ!!



ドクッ!!



ドクッ!!





アナウンスからの


ガス注入という


突然のメッセージに


スピードを増す俺の鼓動。



俺はジワジワと顔面が蒼白になり


冷や汗と共にガクガクと体がまた震えだした。





宏明「な、なぁ……ガスって……何だよ……。ガスって……何なんだよ!!!」





ありえない現実に

戸惑い

今更

自分の行動が

正しかったのかすら

わからなくなる。





松島「ク……クククク……(笑)あはっはははは……(笑)そ、それが……君の……選択なんだよ……!!!君が……君自身が……決めたんだ!!!」






【ヒロくん!!!】


【ヒロくん!!!開けて!!!】


【由実だよ!!!私はここにいるよ!!!ずっと隣にいたんだよ!!!ヒロくん!!!思い出して!!!開けて!!!扉を開けて!!!お願い!!!】






由実……


由実!!!


ガスって何だよ!!!





[ガシャ!!ガシャ!!!]





俺は無心でロックがかかった扉に手をやり

必死に開けようとした。


でも

開くはずも無く……






宏明「あ、開けよ!!!何でだよ!!!何が起きんだよ!!!ふざけんな!!!」





警告音の中


シェルターの扉を何度も叩き


冷たいアナウンスだけが俺の耳に……










[今までこの国を支えてくれた者たちの魂は、安らかな眠りと共に宇宙へと還ります。ありがとう。我々、全ての国民はあなた方の功績を永遠に忘れないでしょう。ありがとう。そして……












やめろ……


やめろ!!


やめてくれ!!!!


やめてくれよ!!!!!





宏明「何でそうなんだよ!!!意味がわかんねぇーよ!!!開けっ!!開けよっ!!!開けって言ってんだろ!!!由実!!!由実!!!やめろ!!!返せよ!!!!」














【ヒロくん……どうして……



【どうして……



【どうして……そんな選択をしたの?】











宏明「由実ぃぃぃいいいい!!!!」











【もう……




【戻れないって……




【わかってたはずだよ……?】













[ご冥福をお祈りいたします。]




[さようなら……




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