LAST SHELTER


◎―4― (1/1)






どれだけ前に進んだのだろうか……


この状況を口で簡単には説明できない。



ただ言えるのは


薄暗い空間に


全面真っ黒な塗料で塗られた通路。


進む度に天井に見える大きな数字。


床には矢印が進めと急かしてるという現実だけ。






[↑]





ススメ……





[↑]





ススメ……





[↑]





ススメ……





[↑]





長く果てしなく続く通路……





「ハァ……ハァ……クソッ!!!どこまで行けばいいんだよ!!!」





自分たちの事は


今までの記憶も曖昧なほど


頭が混同してて


それでも足は前に進むという本能的行動。


理解できていない事は山積みで


そんな中でも心の中には恐怖だけを感じる。





たしかにヤバいよな……


こんなの。





「ハァ……ハァ……ハァ……。」



「もうダメ……ハァ……ハァ……。」





俺たちの走るスピードが


疲れと比例して落ちてきてる。



焦る俺はしきりに


左手首につけた腕時計を見ていた。





[07:08][34]





時間が減ってる。


このタイマーの意味は?


何なんだよ!!!


どうしても秒数が減るのを見ると


気分が悪くなって


気持ちがどんどん焦っていく。



わからない!!!


マジでわからないんだ!!!





それでも



走る足が



ゆっくりと歩く速さへと変わる。





そんな中



段々と



視界の先に



扉らしきものが



見えてきて



呼吸が静かになり



額から汗がゆっくりと落ちていった。





「ドア……ドアがある……。」



「やっとだね……。わ,私……もう疲れちゃった……。」





二人の間には微かな喜びに満ちていて





「行こ……。」



「………うん。」





その遠くに映る扉へと



期待を膨らませながら



君の疲れた手を握りしめ



強く引っ張りながら



近づいていった。





ドクッ……



ドクッ……



ドクッ……



ドクッ……





そして



扉との距離が



数メートルほど近づいた時だった……





「お前らぁぁーー!!!また来やがったな!!!ゴキブリみたいに現れやがって!!!!」





前方から聞こえた


いきなりの怒鳴り声に


俺たちの足は止まり


息を潜める。





俺は目を擦りながら


扉をしっかりと直視すると



そこには


真っ黒なバイクのヘルメットに


ライダースーツを全身にまとった


身長が180センチぐらいの痩せた男らしき人間が


金属バットを手に持って立っていたんだ。





「だ……誰だよ……アイツ。」


「怖いよ……。」





君はゆっくりと俺の後ろへと身を隠した。


俺だって怖くて震えてる。


何が起きたのかもわからずに……





そして


次の瞬間には……










「うわぁぁぁああああ!!!!」










その目の前の男が


金属バットを振りかざしながら


いきなり


俺たち目掛けて襲ってきたんだ。



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