◎―2― (1/1)
その前に
君にはここまでの事を
ちゃんと話さないといけない。
…………………………………………………
「ハァ……ハァ……ハァ……。」
俺は苦しそうな君の手を強く握り
服や顔が汚れたままで
必死に前へと足を踏み出し
走り続けている。
この永遠と続く薄暗い通路を……
「ちょっ……ちょっと休憩させて……。」
君は
髪を振り乱し
顔を真っ赤に染めてそう言った。
それでも俺は
何故か暗闇の恐怖が消えなくて
迫りくる不安も抑え切れなくて
だから
無理にでも君の手を引っ張って
走り続けるんだ。
「何で私たち走ってるの!?わかんないよ!!!」
俺に質問されても……
俺だってわかんないし。
「とにかく前に進まなきゃだろ!!!」
この先が
どこまで続いていて
何が待っているのかさえわからない。
ただ
湿り気のあるこの長いトンネルを抜けなきゃいけないって……
それだけはわかるんだ。
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