[世界は闇に包まれた](1/7)
その日から、丁度4ヶ月が経った春休みのある日。
空は不気味な黒に包まれていて…やっと咲いた桜が散ってしまうんじゃないかと朝から不安だった。
「咲優、今日もお見舞い行くんでしょ?お弁当持って行きなさい」
「やった♪」
プルルルル
お母さんからお弁当の入った鞄を受け取った時、家の電話が鳴った。
「こんなに朝早くから…セールスかしら?」
“嫌だわ〜”と言いながらリビングに走っていくお母さん。
セールスの人も仕事でやっているのに、何だか可哀想に思えてくる。
「行ってきまーす」
電話の邪魔にならないように小さな声で言ってから玄関のドアを開けた。
ガタンッ
ドアが完全に閉まる直前でリビングから聞こえた大きな音。
「…お母さん?」
心配になって声をかけてみたけど、返事はない。
「お母さんっ!?」
慌ててブーツを脱いでリビングに駆け込んだ。
そんな私の目に映ったのは、しゃがみ込んで受話器を落としたお母さん。
「どうしたの!?大丈夫!?」
「……咲優…」
私を見た瞬間、お母さんの目から涙が零れた。
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