pupil play
★[002](1/1)

また夢を見た。

今の私のまま、小学5年生にされてしまう夢だ。

5年2組の教室の一番うしろの席、私には小さすぎる机と椅子にどうにか体をおりたたんでいる。

国語の時間なのだろう、前の方の席の男の子が教科書を朗読させられているのが聞こえて来る。

「はい、じゃあ次を藤沢さん」

「え、あ、は、はい!」

突然指名されて、教科書を手に立ち上がる。

とはいえ、本当に突然のことで、教科書のどこから読んでいいのか、まるで判らない。

「どうしたの? ちゃんと聞いてなかった?」

立ち尽くすばかりの私に先生は言う。

「す、すみません」

「あらあら、居眠り? ふうん、昨日は誰と一晩ヤリまくってたのかしら?」

どこまでも穏やかな笑顔のままで、どぎついことを口にする。

教室中がドッと湧いた。

「菅尾だと思いまーす」

「ばらすなよぉ」

「あらあら、転校してきて一ヶ月で、クラスの男子ほとんど全員としちゃったんじゃない?」

大げさに驚いてみせる先生に、もう一度笑いが起こる。

私にとってはまったく身に覚えのないこと、それでも彼らは間違いなく私のことを話しているのだ。

私はといえば、両手を固くにぎってうつむくことしかできない。


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