探偵みたいな高校生達(LOVE CASE)
告白(1/6)
ウソや‥‥ウソやウソやウソや!
オレは柳さんを抱えた。頭から血が出てくる。
昌「なんでや‥‥なんでこんなことを‥‥!!」
止まることのない出血。
彰はオレの肩を叩き、
彰「泣いてる場合か。吉川刑事に近くの病院まで連れていってもらうぞ!」
陽「泣くのは後だ」
そうだ。まだあきらめてはいけない。
オレは立ち上がり、柳さんを外まで連れていった。
彰「駿一、お前も行くぞ」
と呼んだのだけれど、駿一は動かなかった。
そしてただ一言
駿「病院の場所をメールで送っといてくれ」
と静かに言った。
吉川刑事に事情を話して、近くの病院に搬送した。
緊急の手術が始まり、彼女は手術室へと連れていかれた。
お願いします‥‥柳さんを助けてください‥‥‥!
オレはただ手を握りしめて祈ることしかできなかった。
――――――――――
駿「渡辺‥‥‥オレ言ったよな?『次はない』って」
衛「だったら‥‥なんだよ。オレを殺すのか?」
渡辺は震えていた。小雪を殴ったからではない。小雪に死傷を負わせたからじゃない。
駿一があれを見て、落ち着き払っていることにだ。取り乱さず、彼女に駆け寄ることもなく、ただこちらを見ている。
その静かな怒りに恐怖しているのだ。
駿「殺しはしない。お前なんかと一緒になるつもりはないから‥‥‥。ただ“死ぬよりツラいまま生きてもらう”」
駿一は一歩一歩ゆっくりと渡辺に近づいた。
恐くなった渡辺は小雪の血の付いたパイプを降り下ろした。
避けるでもなく、それを殴った。
カランカランと転がるパイプ。駿一は渡辺の髪を掴み、顔を殴った。何度も何度も殴った。
そして‥‥‥数時間後に警察が駆けつけた時には駿一はもう病院に向かっていた。
警察はヤクザとの抗争という結論を下した。
ただ1つ気になる点があったのは、主犯の少年は重傷で、病院に搬送されたが、視力は失い、喉は潰され、耳も神経を切られていて、全身不随の意識だけはある植物人間状態になったことだった。
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