LmT.6(1/12)
二十歳を過ぎ、
時の流れを早く感じるようになった。
去年迎えた誕生日に
もう二十一歳か…と物思いに耽っていたのに、
あれからもう一年が経ってしまったことに
驚きと虚しさを覚える。
奈々との生活を始めて
三ヶ月弱。
今日私は、
またひとつ大人になった。
「ゆり姉」
陽が沈み、
肌寒さにやる気も削がれる午後。
リビングでテレビを眺めながら
今日の夕飯のメニューを考えていると、
学校から帰宅して
すぐさま部屋にこもってしまった奈々が
私の元へとやって来た。
いつもならば
荷物を置いてすぐにリビングにやって来る奈々が取った
常と異なる行動に、
学校で何か嫌なことでもあったのではないかと
心配にもなったが、
奈々も難しい年頃だし
あまり口を出し過ぎるのもいけないと
特に声を掛けることもしなかった。
それが正解だったのか、
私を呼んだその声色は
いつもと変わりない。
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