LmT.1(1/40)
雲ひとつない、
果てしなく広がる青空。
響き渡る蝉の声。
額を伝う汗。
「あっつ……」
夏は嫌いだ。
冬も寒いから嫌いだけど。
でも毎年夏が訪れる度、
冬よ早く来いと思う。
冬が来たら来たで、
その時は夏よ早く来いと思うのだけれど。
「人間て本当に勝手な生き物」
独り言を呟き、
暑さで形を失いかけたアイスにかじりつく。
その瞬間鳴り響くインターフォン。
動きを止め、気配を消す。
音を立てないように
ゆっくりとモニターに近付き、
それを確認する。
しかしそこには
何も映し出されていなかった。
「悪戯?」
少し考え、
まあいいやと元居た場所に戻る。
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