デスマッチゲーム
[3章:接触](1/6)
山波は目を覚ました。
周囲は既に日が暮れ真っ暗であったが遠くの方に何か光が見えた。
視界がややぼやけて見える。
すると人物らしき影が動いた。

「大丈夫か?」

顔ははっきり見えない。

「…………えっと…………」

「すまんな、強く殴りすぎたか?」

この時やっと視点が合ってくる。

「……誰?」「……………………ハッ!!」

この時山波は意識がはっきりする。
そしてすぐに起き上がった。
山波は辺りを見渡す。

自分がいたショッピングモールのようであったが周りにはダンボールの山が所々で積み上がっていた。

そして見知らぬ男一人と二人の女、そして大藤がいた。
大藤は山波と目が合った瞬間目を反らせた。

「すまない、てっきりあの子を襲っているのかと思ってな」

「………………!!」

山波はあの瞬間、この男が立っていた事を思い出した。

「あの子から聞いたよ、安心してくれていい」

「………………はい」

「しっかし、こんな子供までこのような馬鹿馬鹿しいゲームに参加させているなんて…………あのピエロめ」

男はそう言ってから山波を見た。

「伊藤 博(いとう ひろし)だ」

伊藤は手を差し出す。
山波は握手する。

「山波 隼人です」

屈強なこの男はその見た目とは違い優しそうな声で言った。
すると大藤と一緒にいた女がこっちを向いた。

「山波君、私は福田 佑実(ふくだ ゆみ)よ、よろしくね」

「よろしくお願いします…………」

黒髪の長い大人の女性、山波にはそう見えた。

「松方 歩(まつかた あゆみ)です…………山波君、よろしくね」

茶髪のショートカットのこの子は優しそうな雰囲気を持っていた。

「松方さん、よろしくお願いします」

「はい!」

そのあと山波は横に気配を消していた大藤を見た。

「……………………」

「……………………」

しばらくの沈黙が続く、大藤は決して目を合わせようとしない。

「や、山波君、大藤さんを許してあげて、大藤さんは怖くてしちゃったことなんだよ」

隣にいた松方がそう間に入って言った。

「…………怖かったら人が喰われかけても良いって言うのかよ」

山波はそうボソッと言って立ち上がった。

「ど、どこ行くの?」

「トイレです」

「トイレならまっすぐ行けばある、ゾンビはいない」

「ありがとうございます」

山波は歩いていった。



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