Juice
[エゴイストの仁愛](1/1)
エゴイストの仁愛
あなたはよく、私にキスをくれる。
でも実は、私はキスってそんなに好きじゃない。
離れるのが名残惜しくなっちゃうから。
その度に切なくなるの。
授業中、あなたを見ていたら目があった。
あなたはにっこり微笑んだ。
実は私は、あなたの笑顔好きじゃない。
だって無性に抱き締めたくなって、胸がじんわり痛むの。
膨らんでいく想いに心を揺さぶられて、こんなに苦しくなるのはどうして?
幸せであるほど胸が締め付けられるのはどうして?
でもそれが心地いいのはどうして?
……どうにかしてよ、大好きなあなた。
繋いだ手も、触れ合う体も、全部全部もどかしい。
数センチの距離、もどかしい。
溶けちゃえ、溶けちゃえ。
あなたの鼓動、あなたの温もり、
わたしの鼓動、わたしの温もり、
生きてる。
生きている中に、愛情がある。
愛しい。
離さないで。
溶けて、溶かして。
頬をすべる雫は、全部あなたのせいよ。
全部わたしの胸の痛み。
あなたが好きなの。
にっこり笑って、もっとキスして。
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