エピローグ (
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『生きればいい。』
そう言って、彼女は目の前から消えた。
後を追おうと思った。
いないのに縛られ続けるなら、いっそ、同じ世界に行ってしまいたかった。
彼女のいない生活なんて、もはや考えられないくらい。
…冗談抜きで、本気でそう思うほど、俺は彼女を愛していた。
__けれど、俺は飛べなかった。
『生きればいい。』と、彼女の声がこだまする。
不器用な彼女の、最後の言葉。
『あなたは生きて、』と。そう言っているように聞こえてしまった。
死んでしまえたら、楽なのに。
飛ぼうとする俺に纏わりついてきたのは、『生』という無数の触手で。
そこで初めて、俺は息をするように生を求めていたのだと、思い知らされてしまった。
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