花のように散りゆく
エピローグ ( 1 /2)








『生きればいい。』

そう言って、彼女は目の前から消えた。



後を追おうと思った。


いないのに縛られ続けるなら、いっそ、同じ世界に行ってしまいたかった。

彼女のいない生活なんて、もはや考えられないくらい。


…冗談抜きで、本気でそう思うほど、俺は彼女を愛していた。





__けれど、俺は飛べなかった。


『生きればいい。』と、彼女の声がこだまする。




不器用な彼女の、最後の言葉。


『あなたは生きて、』と。そう言っているように聞こえてしまった。




死んでしまえたら、楽なのに。

飛ぼうとする俺に纏わりついてきたのは、『生』という無数の触手で。


そこで初めて、俺は息をするように生を求めていたのだと、思い知らされてしまった。






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