■2+2 (1/1)
向かう先は出会う運命の場所。
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葉月「見た目は普通っぽいのにその後藤って奴がクソ真面目な奴でさ。図書室で俺がはしゃいでたら急に怒りだしてマジでビックリしたんだぜ。『図書室では静かにして!!!』だって。ウケるだろ?」
今日の葉月はいちだんと饒舌。
きっとアイツに会えるからだよな。
俺は今だに乗り気じゃない。
夕方に歩くこの道には人がたくさん集まりかけてて暑さが増してる。
蒼真「その後藤って奴……俺の親戚。」
葉月「は!?マジか!!!嘘だろ?A組の後藤だぜ?」
蒼真「嘘じゃねぇよ。中学から知ってる。イジメられてたみたいだけど。」
後藤……
久しぶりに聞く名前。
別にどうでもいいけど。
葉月「なんか……すまん。」
蒼真「別に……親戚だからってあんま関わりとかないし。葬式とかで会うぐらいだから。」
はぁー……
なんで俺はこんな事してんのかな。
やっぱ暇つぶし?
葉月「あぁー!!てかもうすぐしたらテストだろ?マジでヤベーよ。」
蒼真「葉月はいつもだろ?」
葉月「確かに。今日は忘れよっ!!」
あのムカつく奴の家にいるよりはマシか……
だな。
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時間がゆっくりと過ぎていき
私はお祭りへ行く準備をしていく。
ベッドには去年買って着なかった浴衣が置かれたままで
それを眺めながらいつの間にか私服へと着替えを済ましている私。
胡桃「気分転換だよ……。うん。」
気分はまだ変わらない。
だから
自分で変えなきゃだよね。
私は一階へと階段を下りて,浴衣に着替えて化粧もバッチリ決めた未来と一緒に家を出て出発したんだ。
辺りは夕方から夜へとスロー再生したかの様に景色がゆっくりと変わっていく。
歩く一本の歩道には,お祭へ向かう人達が次第に集まりながら流れていた。
未来「祭♪祭♪」
未来は凄く楽しそう。
飛び跳ねながら歩いてる姿を見ると,幼い頃に行ったお祭りの事を思い出すな……
あの時も私は未来の保護者の様になってたっけ。
そんな事を思い出した私の顔は,自然と笑顔に変わっていた。
胡桃「なんか……未来って小学校の頃から全然変わんない。成長してないとか?」
未来「そんな事ないし。私だって成長してるもん。」
お祭の場所へと近づく度に綺麗な電飾がキラキラと視界に入ってきて,私の心が次第にワクワクしていく。
てか……未来って方向音痴だった気が。
未来「ふむふむ……。なるほどね♪ここを右に曲がってしばらく歩けばゴール。」
未来の手元を見ると
小さな紙に地図らしきものが見えた。
そういう事か……
この町に引っ越ししたばかりで,わかるわけないよね。誰かに道を聞いたのかな?
未来は昔から面白い情報を集める事にかけては妥協を許さない性格だから頷ける。
賑やかさも少しずつ耳に入ってきて
一歩一歩近づく度に
祭の匂いもしてきて
私は未来と手をつなぎながら進んでいく。
胡桃「………。」
未来「こうかなぁ……。なんか違う様な。」
そんな中で
未来が歩きながら鏡を見つめて必死に口をアヒルの様にしていた。
胡桃「未来……何してるの?」
未来「ん?アヒル口の練習だよ♪男子はこの攻撃にやられちゃうから。女の武器を磨いとかないとね。」
どこ情報だよ……
なんて心の中でツッコミを入れながら
しばらく歩くと
ある出店の前で止まった私たち。
そこには……
葉月「やっと来た!!未来ちゃん浴衣?マジで可愛いじゃん。」
蒼真「おせぇーよ。」
私服姿の新垣蒼真が立っていたんだ。
未来「よっ!!居眠りボーイ♪」
葉月「居眠りボーイって……おい。」
やっぱり……
そんな気がした。
予想的中って感じ。
胡桃「………。」
葉月「ってか……未来ちゃんだけじゃなかったの?その子,誰?なんか未来ちゃんに似てない!?」
えっ!?
未来「双子の胡桃だよ♪」
葉月「双子!?」
まさか私は参加予定じゃなかった!?
蒼真「学校休んでたみたいだけど……もう大丈夫?」
彼の何気ない言葉で
急にあの雨の事を思い出す私。
明らかに動揺してる。
胡桃「う,うん。大丈夫……。」
葉月「えっ!?蒼真ともう知り合い??」
お祭りの賑やかさと共に
キラキラと輝き乱反射する光と鼓動が
私に何かを知らせてる。
この4人の空間に……
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