■充電 (1/1)
充電する事で整理する自分の意思。
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あの雨の日から
私は体調を崩して数日間学校を休む事になった。
新しい環境に疲れちゃったのかな。
でも
内心は嬉しい気持ちが強かった。
あんな変なクラスに向かう力なんて,今の私には無かったから。
当然と言えば当然かも。
胡桃「はぁ……何やってんのかな,私。」
週末から日曜日にかけて,私は自分の部屋に閉じこもったままで何もしない時間が続いていく。
そんな中で
レイちゃんの処罰の事や
クラスに存在するルールの事を色々と考えた私。
あれは絶対に間違ってるって自分でもわかってる。
でも,あのクラスと深く関係がありそうなノートは今だに開けていない。
きっと知らない方がいい事もあるはずだと思ってるからかな。
【見ないフリ。】
白波くんが言った言葉……
その言葉にはきっと何か意味がある。
だから
私の心の中で
あの言葉がいつまでも消えていない。
胡桃「でも……やっぱり間違ってるよ。絶対……。」
いくら考えても
この休みの中で充電された私の意思は全く変わらない。
見ないフリなんてできないって言ってるみたいに。
胡桃「………。」
きっと
これが
『答え』なんだよね。
[ガチャッ!!!]
未来「胡桃ぃーー♪日曜日だよ!!」
またノックもしないで無邪気に私の部屋に入って来る未来。
未来「きゃっ!!!」
[ドンッ!!!ドタッッ!!!]
激しい音と共に
未来がコンセントのコードに足をとられて
見事に引っ掛かって倒れてる。
周りを見ないでいつも行動するからだよ。
もう……
未来「イテテテ……。セーフ(笑)」
十分アウトです。
胡桃「未来はホント無茶苦茶だよね。その性格をなおさないとヤバいよ。」
未来「そんな私が好きなくせにぃー♪胡桃の照れ屋さん。」
胡桃「はぁー…。大丈夫?」
未来「うん。」
おでこを擦りながら倒れている未来を,呆れながらゆっくりと起こしていく私。
胡桃「それで……何?」
未来「なんだっけ?あっ!そうそう♪胡桃,日曜日だよ!!休みは有効に使わないと♪……ってか胡桃はずっと休みだったか。」
未来に何も話していない事で,二人の間に凄く温度差を感じる。
元気な未来と
暗い私。
疲れる……
未来「もう胡桃は治ったんだよね?」
治ってないと言いたい。
けど……
たしかに体は元気そのもの。
休みボケまでしてるし。
胡桃「うん。もう大丈夫だよ。明日から学校にも行けるかな。」
正直
行きたくない。
引きこもりにでもなりたいぐらい。
未来「じゃあさ,今から遊びに行く?」
私の傍まできてニコニコしながら可愛く呟く未来。
何か裏がありそう……
胡桃「二人で?」
私は探りを入れる様に返事をした。
すると
未来「う〜ん……秘密♪」
秘密って
絶対二人じゃないじゃん。
未来「っていうか祭だよ♪祭!!なんか近所であるみたいなんだよね。」
胡桃「祭?」
未来「うーん。こう言ったらわかるかな。出店とか出てて……花火が上がったり……皆が浴衣を着たりだとか……夏の風物詩で……英語で言うとフェスティバル!!!」
身振り手振りで必死に説明する未来。
胡桃「し,知ってますけど……。だいたい祭を知らない日本人がどこにいる!!!てか馬鹿にしてる?」
未来「冗ー談♪テヘッ。」
可愛く舌を少しだけだして
未来のお決まりのごまかし方。
祭なんて行く気にもならなかったけど,何故かこの暗い気持ちを掻き消すには何か明るい材料がないとやっていけないと思ってしまう私。
完全に未来に流されてる。
胡桃「祭……かぁ。」
未来「行って損なし。」
胡桃「うーん……。」
未来「夕方になったら一緒に行こっ♪」
そういえば
いつも私が暗い時は
未来がこうやって元気をくれた気がする。
本当は元気がない私を心配してくれてるのかな……
そう思った私はいつの間にか
胡桃「うん……いいよ。」
そう返事をしていた。
未来「やったね♪さすが胡桃。」
裏がありそうな誘いだけど
今の私はきっと前向きに考える力をなくしてる。
ただでさえ急に体調を崩しちゃって
きっと精神的なものもあるはずだよね。
今は何も考えずに
ポジティブにいかなきゃ……
考え過ぎのダメな性格で潰されちゃいそうだし。
未来「じゃあ,また後でね。さっ,可愛くしないと♪」
笑顔で部屋を出ていく未来。
私は未来に言われるまま
この暗い世界から抜け出す為に
祭へ行く事を決めたんだ。
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