■一つの傘 (1/1)
一つの傘に何かが触れる時,出会いは新たな運命に導かれる。
―――――――――――――――――――
未来「はぁ〜あ,胡桃の馬鹿。」
私は胡桃が先に帰った事で
一人でトボトボと階段を下りていく。
さっき見せた胡桃の冷たい態度に少し心配しながらも,自分の靴を履き代えようと学校の入口まで歩き着いた。
そして
ゆっくりと手を伸ばすと……
未来「あれ……私の靴は?」
下校する数人の生徒たちが入口から出ていく中で
私の靴が見当たらない。
未来「なんで??」
不思議に思った私は
周りを見渡しながら探していくと
ドアの端の方に
投げ捨てられた様に乱雑に落ちた私の靴を発見する。
未来「あった♪」
私はその靴のそばまで近づき,周りを見渡しながらしゃがんだ。
未来「なんでこんなトコにあるのかな……。」
私が靴に手を伸ばした瞬間
[ドンッ!!!]
突然
背中から何かに押されて
前のめりに倒れていく私。
未来「いっ……!!!」
倒れると同時に
地面についた両手の痛みを我慢しながら
振り返ると
私はいつの間にか女子生徒たち数人に囲まれていたんだ。
那波「ねぇー,そんな所にいたら邪魔なんだけど。どいて。」
「誰?コイツ(笑)」
「知らなぁ〜い。誰だっけ?」
上目遣いで見つめる先に
朝一に先生が呼んでるとか嘘をついて
私を呼び出した人達の姿がハッキリと見えた。
未来「何?マジで痛かったんだけど。」
靴を手に取って
無表情で立ち上がる私。
そんな姿を見た彼女たちは
薄ら笑いを浮かべながら言ったんだ。
那波「同じクラスだったら良かったのに。そしたらもっと楽しませてあげるよ。」
きっと
これは私に対しての攻撃?
めんどくさい連中に関わっちゃったのかも。
私ってとことんツイてない。
未来「残念♪私はC組じゃないもん。」
那波「呆れる…。まぁーせいぜい頑張って(笑)あんたが新垣蒼真と関わらなくなったらやめてあげる。」
なんで蒼真くんを目の敵にするの?
恨みでもあるとか?
なら私にはこんな事しないよね……
「うちらを敵にしたら後悔するって言ったのに〜。」
「あぁー,後さ……その靴を私たちが水浸しにしてあげたから(笑)もちろんお礼はいらないよ。」
家来AとBがなんか言ってる。
手に持った靴からは水が滴り落ちていく。
未来「どうりでビチャビチャな訳だ。なるほど。」
もう最低……
那波「松山未来だっけ?私をちゃんと覚えといた方がいいよ。あと,新垣蒼真も借りはきっちり返してもらうから。アイツに女をナメるなって言っといて。」
未来「………。」
マジでなに!?
予定は変更になるし
蒼真くんは先に帰ってていないし
変な人たちには急に絡まれるし
かなり最高の一日だよ!!!
那波「じゃあね。これから気をつけなよ。」
私を残したまま歩き去る3人。
それを眺めながら
濡れた靴を履き代えていく。
未来「最高の履き心地♪」
なんだかわからないけど
私は他人の言う通りになんかしない。
甘くみないで。
―――――――――――――――――――
私は学校を出てから
傘をさしたまま
生ぬるい空気と雨音を感じながら
ゆっくりと歩道を歩いて帰っていた。
胡桃「………。」
なんで私はあんなクラスに転入したのかな。
こんなのないよ。
変な生徒たちに囲まれて
おかしなクラスにいる私。
この運命をマジで呪いたい気持ちでいっぱい。
[ザァァァーー……。]
雨が強くなる中
コンビニの近くに通り掛かった時だった。
「ラッキー♪」
胡桃「えっ!?」
私が驚いた瞬間,さした傘の中へと急いで男の人が入り込んできたんだ。
あまりの事に固まる私は視線をその人に向ける。
すると
私の隣には
まさかのあのチャラ男がいて
更に驚き戸惑う私。
胡桃「ちょっ,ちょっと…なんで!?」
蒼真「いいじゃん。俺さ,傘を忘れたんだよね(笑)朝から降ってるのにウケるだろ?」
笑えません!!!
…って
何で普通に私の傘に入って平気な顔して喋ってる訳!?
蒼真「じゃあ朝はどうやってきたんだ?とか思った?それは謎。」
思ってません!!!
それに謎って何!?
胡桃「勝手に私の傘に入らないで!!!変態!!!早く出てよ!!!」
拒否反応をみせる私を
まるで楽しむかの様にかわす彼。
蒼真「胡桃ちゃんなら変態になる価値があるかもね(笑)」
胡桃「マジでウザい!!!」
もうなんなの!!!
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