6×6BLOCK【裏】


■雨で濡れた放課後 (1/1)

放課後に交わる人と人。





突然の事に


私は思わず本音を口にしてしまう。



胡桃「変わらないってどういう事?こんなのおかしいよ……。このクラスはなんか変だよ!!!」



レイちゃんは何も悪い事なんてしてない!!!


ただ私は……



胡桃「私は自分の意見を言っただけなのに……どうしてレイちゃんが処罰を受けなきゃいけないの?レイちゃんは私に何も言ったりしてないんだよ?」



そう私が言うと


白波くんは苛立った表情を浮かべて


私の手を無理矢理引っ張って教室の外へと連れ出した。



胡桃「いっ,痛い……放して!!!」



吹奏楽の音が欝すらと聞こえてきて


何故か悲しくなる私。


こんな変なクラスに転入してきた事実が,きっと悲しくさせてる。



圭介「もうやめろ。余計な事を考えんじゃねぇよ!!!」


胡桃「………。」



感情的になった彼を見て


怖くなった私は黙り込んでいく。



胡桃「………。」


圭介「………。」



しばらく沈黙が続く中


白波くんが溜息をゆっくりついて話し出した。



圭介「一つだけ言っといてやる。お前は監視されてる。行動も全て。それがこのクラスなんだ。そして,お前が1番にするべき事は見ないフリ……ただそれだけ。」


胡桃「………。」



監視!?


見ないフリ!?


意味がわかんないよ!!!



胡桃「もういい。本当に頭がおかしくなりそう。ここは学校じゃないの?クラスを無理矢理一つにするみたいな変なルール,本当に必要?罰を与えるなんて高校生の私たちがする事じゃないよ。こんなの聞いた事ない!!!」


圭介「………。」



私は白波くんの理解できない言動を無視する様に離れていった。


今日という一日をこんなにも最悪だなんて思った事がない。


私は鞄を強く握り締め


廊下を進んでいく。





[ガラガラガラ……。]





未来「あっ,胡桃!帰ろ♪」



B組から出てきた未来の姿が見えても


私は歩くのをやめなかった。


今は誰とも話したくない。



胡桃「今日は一人で帰る。」


未来「えっ……放課後に付き合ってくれるって言ったじゃん。胡桃の嘘つき!!!」



私はどうしても一人になりたかった。


一人きりに。


だから


未来とは帰らずに一人で下校していったんだ。





胡桃「………。」





こんな学校


転入するんじゃなかった!!!





―――――――――――――――――――





一花「………。」



私は校舎から出て


傘をさしながら雨が虚しく落ちるグランドを歩いていく。


疎らに見える下校していく生徒たち。


その中で赤い傘を持った一人の女子を見つけて,私はゆっくりと近づいた。



一花「佐藤さん,お疲れ様。」



その一言には重いメッセージが込められている。


ライバル心?



怜香「一花……。」



これでポイントを上げたね。


さすが元友達だよ。


まさかそんな勇気があるなんてちょっと信じられなかったけど。



怜香「一花!ちょっと待って!!」



歩き去ろうとする私の肩に,彼女の引き止める手が触れる。



一花「何?佐藤さん。」


怜香「佐藤さんとか……やめてよ。2年になってからずっとそうだけど……」



今の私は彼女の名前を苗字で呼んでる。


それは『元』だから。


きっと本当の彼女は得意分野だったのかな。


壊す事が。



一花「もう1年の頃とは違うから。それに私は私の生き方があるし。佐藤さんは自分の道を進んだらいいと思うよ。」


怜香「私……ずっと気にしてて。本当に悪いと思ってるんだよ。一花にあんな態度をとったりして。あの時の私はどうかしてたから。」



愛は人を変えるって事だよね。


レイは『友情』より『愛情』を選択したんだ。


だから



一花「もういいよ。SEVENの事をずっと想ってるのも知ってるしさ。私はまた二次元の世界に戻ったから大丈夫(笑)やっぱり私には無理だったみたいだから。」



無理矢理笑顔を作り


何気ない態度を見せる私。



怜香「ごめん……。」



今更謝られても困るよ。


裏のレイを見た私は,もう友達には戻れないし。


それだけレイにとってSEVENが全てなんだよね。



一花「今度も……SEVENの為?」



私は嫌味っぽくレイに言った。


それを聞いたレイは……



怜香「……うん。」



やっぱり。


そうだよね。



一花「そっか……。頑張ってね。」



きっとまた人を踏み台にするのかな。


やっぱり変わらない。


こんな私でもわかるよ。





きっと最後は



自分に返ってくるって。





―――――――――――――――――――





[ザァァァーー…。]





無駄に降り続く雨。


それを眺めながら立ち尽くす俺は,傘を忘れて学校近くのコンビニで雨宿りをしていた。



蒼真「チッ……最悪。」



今日の雨はマジで酷過ぎ。


天気予報をシカトして全身は濡れるし


葉月は馬鹿なのに風邪で休みだし


転入生にはガチで惑わされるし


いい事ナシ。



蒼真「はぁー…。」



マジでつまんねぇーよ。



そんな事を思いながら雨が落ちる歩道を眺めていると


一人の女の子が目に映った。





蒼真「あいつ……。」





俯いたまま弱々しく歩く彼女の姿を見て


俺は思わず声をかけていたんだ。



- 24 -
戻る[*][#]裏へ
⇒しおり挿入
/187 n


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]