6×6BLOCK【裏】


■2つの運命 (1/1)

胡桃の運命と未来の運命が徐々に分かれていく。





胡桃「レイちゃん……。」


怜香「………。」



震えながら俯くレイちゃんの姿を見て


胸が切り裂かれる思いだった。


今更になってカルトくんが言っていた言葉を思い出す私。



どうしてこんな事になったのか……


それすら理解できないまま


『処罰』という2文字に


私も見えない恐怖で震えていた。



村上「では…処罰も決定した事ですし,松山さんにこのクラスのルールを今からちゃんと説明しますね。」



私は


どうしたらいいの?



私が軽々しく言った事で


仲良くしようとしてくれたレイちゃんが訳がわからない『処罰』を受けなきゃいけないなんて。


絶対どうかしてる!!!



でも……


他の誰もその事についておかしいとは思ってないみたいだし


クラスメートたちはそれが当たり前の様に座って見ているだけ。



胡桃「どうしよう……。」



ホントに怖いよ……


このクラス。



村上「この2ーAというクラスは,『皆の心を一つにしてイジメのないクラスを作る』という言葉をスローガンに掲げています。その為に情報共有コミュニケーションツールとして特別なサイトがあり,お互いを知り高め合う意味で自己評価のシステムが存在するんです。松山さん,ここまでは理解できましたか?」



なにそれ……


理解できるわけないよ!!!



胡桃「………。」



私の耳には聞き慣れない言葉にしか聞こえなくて


正しい様に言ってるけど


全て恐怖にしか感じない。



村上「そのスローガンを現実にするためには,クラスメート一人一人の協力が必要なんです。もちろんイジメをする生徒やルールを守れない生徒がいれば,それ相応の罰が必要になってきます。私が佐藤さんに言った『処罰』というのはその事です。」



なんで


なんで処罰なんて必要なの!?


私たちは高校生なんだよ?


ここは学校なんだよ?


絶対おかしいよ!!!



胡桃「あっ…あの……。」



体験した事のない空間に


唇が震えて


声が思うように出ない私。



村上「だから,松山さん……このクラスの仲間になったからにはルールを守って下さいね。いいですか?」



それは断る事さえ許されないような質問。


クラスメートたちが私に注目して


その視線が痛いほど突き刺さっていく。


『はい。』という答えを待ってるかの様に。



胡桃「わ,私……。」


村上「いいですね?」



私が答えなきゃ前には進まない。


そう促しているみたいに強い眼差しで私にたたみかける村上さんの姿。


本当は間違ってるって言いたい。


でも……



村上「一緒に理想のクラスを作りましょう。ルールを守ればいいだけの話なんですから。何も難しい事はありません。」



私が答えに困って沈黙していると


クラスの皆が私に笑顔で声をかけてきたんだ。




「大丈夫だって!頑張ろっ!!」


「松山さんならできるよ。」


「私たちと一緒にやっていこ♪」


「俺らも協力するからさ。わからない事があれば教えるし。」


「仲間になって!!理想のクラスを一緒に作ろっ!!!」




頭の中がぐるぐる回って


複数の言葉が目眩を誘発していく。


思考さえ正常にできないまま



胡桃「………。」



雨音が強さを増して


教室中に響いていく中で




私は



頷くしか



それしか



できなかった。





清水「そう。それでいいんだよ(笑)ようこそ,2ーAへ。」





―――――――――――――――――――





人がいない場所で俺と彼女に沈黙が続いてて,雨音が虚しく聞こえていた。



思わず叫んだ言葉も


彼女には通じてないみたいに


キョトンと立って俺を見つめてる。



蒼真「ったく……。」



聞こえてんのか?



未来「………。」



突然彼女が言った言葉で


隠していた心を見透かされた様な感覚に陥った俺。


その事で何故か焦っていたんだ。


転入してきて間もない奴に自分を知られてしまいそうな気がして


変な気分になっていた。


だからさっき感情的になったのか……



蒼真「お前,俺がどんな奴かマジでわかってる?」


未来「うーん……正直わかんない(笑)でも,悲しそうな目に見えたから。何故かそう感じてしまったんだよね。私ってマジで変なのかな。」



出会いからおかしかった。


なんで俺を運命の人だなんて馬鹿みたいな事を言ったのか。


ただふざけてると思っていたのに


その目や言葉は


いつの間にか俺の心を惑わせてる。



蒼真「お前さ……マジで適当な事言ってんじゃねぇーよ。何がしたいんだよ。」


未来「私はね,ただ蒼真くんと仲良くなりたいだけだよ♪ただそれだけ。」



双子の松山胡桃とは雰囲気も全然違う。


今まで出会った女の子とは別物。


なに調子を狂わせられてんだよ。


しっかりしろって!!!


いつもの調子はどこにいったんだよ!!!



蒼真「マジでふざけんな。」


未来「ふざけてない。」


蒼真「………。」



どうせただ俺に興味があって近づいてきてるだけだろ?


簡単に行動しろよ。


いつもの俺みたいに。



蒼真「わかった。もういいわ。なんかめんどいし。」


未来「うん。確かにめんどいね♪」



意味わかってんのかマジで!?



蒼真「話は終わり。今から俺はトイレに行くから。じゃあな。」


未来「うん!気をつけてね。」


蒼真「トイレに危険な事なんてねぇーよバーカ。」


未来「エヘッ(笑)」



一瞬でも勘違いした俺が馬鹿だった。


きっと適当に喋る奴なんだよな。


ド天然的な感じの。


心配して疲れた。



未来「また後でね♪」



彼女は俺が離れても手を振って笑顔のままで立っていた。


俺は訳がわからず男子トイレへと向かう。





蒼真「はぁー……。」





なにやってんだ俺。


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