■私が守ってあげる (1/1)
未来は感じるままに進んでいく。それが運命だと信じて。
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私は教室に入ると
朝一番に君の元へと駆け寄って挨拶を交わす。
まだ3日目だけど
この運命は最初から決まってたはずだから
君と少しでも同じ世界を共有したい。
それが私の素直な気持ち。
だから自然とこの行動が日課になりつつあるのかも。
未来「蒼真くん,おはよ♪」
蒼真「あぁ…おはよ。」
未来「あれ?後ろの席の居眠り男子がいないね。」
蒼真「葉月は休み。」
ラッキーかも♪
未来「そっか。」
蒼真「………。」
ただ
今日の君は雨音が掻き消す様に
何故か遠い目をしていたんだ。
椅子に力無く座り
顔を片手にのせて
雨が当たる窓の景色を心のない視線で見ている君。
その横顔を静かに見つめる私の瞳には
マロンがいつか見せたあの顔みたいに映っていた。
[ガラガラガラ……。]
「ねぇ,松山未来さんっている?」
突然
教室のドアが開き
私の名前を呼ぶ一人の女子生徒が現れた。
その女子生徒は周りを見渡し
私を探している。
未来「松山未来は私だけど……何?」
「あっ,いた!先生が呼んでるよ。」
ちょっと不思議に思いながらも
私はその女子生徒についていく事にした。
未来「何か悪い事したかなぁー…。もうすぐ授業始まるのに。」
「大丈夫だよ(笑)きっとね。」
何も違和感なく廊下を歩きながらついていく私。
きっと
これが私のダメな所なんだよね。
わかってます。
[ガラガラガラ……。]
「あっ,来たよ。」
連れて来られたのは職員室ではなく
使われてない物置の様な部屋だった。
古い机や椅子が無造作に並んでる。
やっぱ私
わかってないかも……
未来「あの……先生は?」
私は状況がまったく理解できなくて
キョトンとしたまま
周りを見渡す。
この部屋にはもちろん先生の姿はなく
いるのは私と
呼びにきた女子生徒。
それに
すでに教室にいた2人の女子だけ。
那波「あんたがB組の転入生の松山未来?」
その3人の中でも一際目立つ存在感を出し
強そうな瞳とは裏腹に肩まで綺麗に伸びた髪が印象的な女の子。
その彼女が目の前に立って私に言ったんだ。
未来「うん。そうだよ♪私が未来だけど。」
「なにコイツ。マジでウケる(笑)」
彼女の後ろにいる人達がクスクスと笑って私を見てる。
嫌な予感……
那波「私は同じ2年でC組の那波〈ナナミ〉。ちょっとあんたに忠告しとこうと思ってさ。」
まさか3日目にして問題発生?
また!?
前の学校で何度あったかな……
気づいてないのを含めても
1……
2……
3……
うーん……数えるのもめんどくさい!!
とにかく今回は早過ぎだよ!!
那波「ねぇ,聞いてんの?」
未来「あっ,うん。」
どうしようかな。
どう切り抜けよう。
那波「あんたさぁ,新垣蒼真の周りをうろちょろしてるみたいだけど……意味わかってやってんの?」
ない頭をフル回転させる私。
まさか恋敵!?
恋愛漫画的なシチュエーション。
未来「別にいいじゃん。私はただ蒼真くんと仲良くなりたいだけだもん。それに先生に呼ばれてるとか嘘つくなんて最低だね(笑)やり方がマジで古過ぎ。」
また口が勝手に!!!
考えて喋らない私の悪い癖。
「コイツ!!マジでムカつく!!!」
「那波!!!」
那波「わかってる。ただの馬鹿なんだよね?きっと。」
馬鹿!?
馬鹿じゃないし!!!
那波「頭が馬鹿みたいだから言ってあげるね。新垣蒼真と関わるとろくな事がないよ。アイツは最低野郎でクズ以下だから。」
その言葉を聞いて
胸がズキっと痛み
私の顔が
真剣な表情へと変わる。
未来「は?意味わかんないし。那波さんって蒼真くんの彼女?家族?親戚?」
那波「ねぇ,何言ってんの?マジで馬鹿?」
未来「蒼真くんの何を知ってるかわからないけどさ,勝手に人の事を決めつけるのはよくないよ。」
私は何故か怒りが込み上げてきて
苛立ちが溢れる様に言い放った。
那波「あんたさ…マジで何も知らないくせに強がるのもいい加減にしなよ。アイツのせいでどれだけ心をズタズタにされた女の子がいると思ってんの?」
未来「そんなの知らないし。きっと蒼真くんの事が理解できなかったんだね。馬鹿な女の子たち♪」
「頭がマジでイカレてんじゃない?」
「やる気らしいね。」
那波「この学校に来たばかりのクセに凄いよ。そのムカつく態度。」
私が守ってあげる。
大丈夫だよ。
私には何故かわかる気がするから。
蒼真くんの本当の心が……
那波「理解できないならしょうがないよね?それだけ頭が馬鹿なんだからさ。じゃあ,最後にもう一度だけ忠告しとくからよく聞いときなよ。もう新垣蒼真には絶対に近づくな。いい?もしうちらを敵に回す様な事をしたら,あんたは2度と学校に来れなくなる。意味わかる?」
未来「ふぅ〜ん。無駄な忠告ありがとう(笑)私は何を言われても自分の思った様に行動するから。ごめんね!じゃあねぇー♪」
私は自然と笑顔を作り
自分の感じるままに部屋から出ていき
突き進んでいく。
それが
私だから。
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