6×6BLOCK【裏】


■正しい答え (1/1)

不安を抱えた3日目。胡桃の決めた意思がクラスを思わぬ方向へと進める。





窓から射し込む薄暗い光が


3日目の訪れを知らせている。



目を開けた瞬間


睡眠不足で体はいつもより重く


朝から降り続く雨が気持ちを暗くする。



胡桃「はぁ……なんか行きたくない。」



本音がポロっと口からこぼれ落ち


それでも私はベッドから起き上がって制服に着替えていく。


朝の日課だったシャワーを浴びるのも忘れ


あの謎が深まるクラスへと引き寄せられる様に時間が進んでいった。



胡桃・未来「行ってきます。」


母親「行ってらっしゃい。雨が降ってるから気をつけるのよ。未来は忘れ物ない?」


未来「ないなぁーい♪」





[ガチャ……]





家の扉が静かに閉まり


私たちは傘をさしながら


濡れた歩道を歩いて


あの学校へと向かった。



未来「胡桃,大丈夫?昨日から元気がないけど。」


胡桃「……うん。大丈夫。」





[ザァァァーー……]





スコールの様に降り続く雨。


強い雨粒が傘に当たり続ける中


私は小さな嘘をついていた。





【大丈夫……】





その言葉はいつも私が防御線をはるやり方。


そう言ってしまえば魔法がかかった様に相手を心配させない。


迷惑をかけない様に生きてきたのは,幼い頃に培われた産物。



だから


私は自分の事を何でも一人で解決してきた。



胡桃「今日の雨,かなり酷いね(笑)」



また作り笑顔。



未来「だね〜。」



未来は自然な笑顔で空を見つめる。



胡桃「………。」



これでいいんだ。


私は私。


未来は未来。



朝からきっと悩み過ぎ。


あのノートの事は忘れて


今日は村上さんに自分の気持ちを伝えればいい。


それだけの話。


深入りなんてしなければ何事もなく平和に進める。


うん。


そうだよ。



胡桃「今日も頑張ろっ!」



視線を真っ直ぐ前に見つめ


不安な自分に勇気を送っていく。



未来「え?急に元気になった(笑)」


胡桃「私は元気だよ♪」



そう


私は元気。



未来「なにそれ〜。心配して損したよ。」



それでも私の歩く足はいつもより歩幅が短くて


ポジティブに気持ちを切り替えていても体が正反対に動いていた。



未来「あのさ。今日の放課後,ちょっと寄りたい所があるから付き合って。いい?」


胡桃「うん。いいよ。」



こんな会話の中でも


何故かあのノートがまだ気になってる私。


1ページしか見てないけど


あの後のページには何が書かれてあるのかな。



そんな事を思いながら


私たちは学校へとたどり着き


互いの教室へと分かれていった。





[ガラガラガラ……。]





胡桃「ふぅー…。」



深く息を吐いた私は


気合いを入れて


教室の中へと足を踏み入れた。



「松山さん,おはよ〜!」


「おはよう♪」



クラスメートたちが私に気づいて挨拶を交わしていく。



胡桃「おはよ!雨凄いね(笑)」



別に変わった所はない。


クラスメートも普通な様子。


大丈夫だよね。



圭介「………。」



視線をゆっくり横に向けると


角の席に


昨日の朝に未来がぶつかった男子の姿が映ったんだ。


その男子はズボンのポケットに両手を入れてダルそうにしてる。



胡桃「………。」



昨日の事


結局教室で謝れなかったけど


気にしてないよね?



そんな事を考えてた矢先……



圭介「なに見てんだよ。」



彼と目が合って


不機嫌な感じで睨みつけられて


目のやり場に困って


動揺しながらも咄嗟に口を開く私。



胡桃「あっ,あの……昨日の朝はごめん。ただ,それだけ。」


圭介「遅ぇーよ馬鹿。海に沈めるぞ。」



こ,怖い!!!



私は急いで自分の席へと向かい


椅子に座って授業の準備をしていく。



胡桃「………。」



はぁー…


ホントに大丈夫かな私。


先行きが不安だよ。



怜香「胡桃ちゃん,おはよ。雨で濡れなかった?」



そんな不安を抱えた私に


レイちゃんが優しい笑顔で声をかけてくれた。



胡桃「お,おはよ。大丈夫だよ。ちょっと濡れちゃったけど(笑)」


怜香「豪雨だもんね。」



今日のレイちゃんは元気そう。


良かった。


昨日はやっぱり体調不良か何かかな。



こんな空間の中でも


レイちゃんみたいな存在がいるだけで救われる。



怜香「さっき白波くんと話してたみたいだけど……大丈夫だった?」


胡桃「白波くん?あっ,角の席の人?」


怜香「そう。白波くんって人嫌いだから近づかない方がいいかも。」


胡桃「そ,そうなんだぁ…。わかった。」



人嫌い。


なんかわかる気がする。


何人か人を殺してそうなぐらい怖いし。



胡桃「………。」



あの人……白波って名前なんだ。





そして


授業が始まるチャイムが鳴るのを待っていると


一人の生徒が私に近づいてきたんだ。



村上「松山さん,おはようございます。昨日,私が話した事を考えてくれましたか?」



村上さん……


きた!!


ちゃんと言わなきゃだよね。



私は視線を村上さんに向けて自分の意思を伝えていく。



胡桃「あの……昨日からずっと考えて,やっぱり私はサイトに登録するのは無理かなって思って。それに自己評価も参加しなくてもいいかな。あんまり難しい事は得意じゃなくて(笑)」



そう私が言うと


村上さんの表情が一変したんだ。



村上「そうですか。それが正しい答えですね?」



た,正しい答えって何??



怜香「………。」



私が唖然としてると


更に未知の言葉が送られた。





村上「1限目は臨時のHRです。松山さんをこんな風に答えさせた人についての話し合いをします。」





その言葉に



私の目は開いたまま



時間が止まっていたんだ。


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