6×6BLOCK【裏】


■傷だらけのノート (1/1)

闇が少しずつ動きを見せる中,胡桃はある小さなノートを見つける。





第一印象は最悪。


初対面の女の子に平気であんな事をスラスラ言える軽い感じが嫌。


まさに外見通りの苦手な男子。



未来「今度さ,胡桃と一緒に3人で遊びに行こ♪親睦を深める為に(笑)」


蒼真「まぁー…俺はいいけど。」


胡桃「結構です。」



何で話が勝手に進んでるの!?


未来は何を考えてんだか。



蒼真「俺のダチの葉月も呼んでいい?」


未来「えっ?う〜ん……まぁいっか。」


胡桃「だから結構です!!ねぇ…聞いてる?」



そんな私を尻目に


B組の女子が通り過ぎながら未来に声をかけていく。



「また蒼真くんと話してるの?未来,次の授業が始まるよ。」


未来「はーい♪ちょっと待ってて。」



2日目にして未来はパワー全開。


いつの間にかもう学校に馴染んでる。


違和感無しで。


私は自分のクラスにも慣れてないのに!!



未来「じゃあ日にちが決まったらメールするね♪」


蒼真「了解♪」



いやいやいや……


私の意見は無視ですか?


しかも未来は彼の連絡先をもうゲットしてる!?



胡桃「未来……。」


未来「ん?」



私は彼に気づかれない様に


未来を欝すら睨みつけながら『無理』的なアイズを送る。



未来「……なるほど(笑)」



それなのに


何を勘違いしたのか


未来はウインクをして『協力して』的なアイズを私に返してきた。



まさに悪夢!!!


全然伝わってない!!!



未来「じゃあ胡桃,また後でね♪蒼真くん行こっ!!」


胡桃「あの…未来?意味が……」



そんな私の言葉も虚しく


未来とチャラ男がB組へと戻り


4限目の始まるチャイムが鳴って


私も教室へとトボトボ戻って行った。



胡桃「はぁ……。」



本当に最悪……


何であんなチャラ男を運命の人とか言う訳?


今更だけど未来の気持ちが全然わかんない。



そして


自分の席に座ると


また現実へと引き戻される私。



A組のクラスメートたちは次の授業の準備をして,姿勢を正したまま黒板を見つめてる。


やっぱり何か変な空気がまだ続いてる。


私はレイちゃんの事が少し心配になって視線を向けると,いつの間にか調子が戻った様に座っていたんだ。



胡桃「………。」



なんだろう……


もうわかんなくなってきたよ。


チャラ男のせいで考えるのも疲れちゃったし。


私もB組が良かったな……


なんてね(笑)



そんな事を思いながら授業が始まり


時間が自然と進んでいく中で,クラスメートたちの不可解な行動を目にしても私は無視していったんだ。



ロボットみたいに動く生徒たち。


手を挙げるのも同じタイミング。


もちろん授業中はお喋りも無し。



明らかに変なクラス。


これを見ておかしいと思わない訳がない。



でも


私は自分の考え過ぎだと決めつけて


見ないフリをしていった。


神経質な性格だから,気にすると悩むぐらいずっと気にしてしまう。


だから


私は今までずっと怪しい事や関わらない方がいい事は必ず避けてきた。


この学校でもそれはきっと変わらない。


これが私なんだよね。


心が潰れないための生き方だから。








そして……



放課後へと景色が変わった頃


クラスメートたちが教室から出ていき


誰もいなくなったのを確認して溜息をつく私。



胡桃「はぁ……。なんか最悪な2日目だったなぁ。」



私はこのクラスに馴染めない気がする。


凄く時間がかかりそうだよ。


やっぱりサイトに登録した方がいいのかな。


全然わかんない。


考えるだけでストレスが溜まりそう。



胡桃「私も帰ろ……。」



長く感じた一日に疲れを感じ


私は机の中の教科書やノートを鞄にしまって


必要なものは前の学校の時みたいに後ろのロッカーへと入れようとした。





[ガチャ……]





その瞬間だった。


空のはずのロッカーに


小さなノートが置いてあるのを見つける私。



胡桃「何これ……。」



ノートの表紙には


今にも消えそうなシャーペンの字でこう書かれてあった。











【2ーAに眠るもの】










胡桃「2ーAに……眠るもの?」



思わずそのノートを手にとった私は裏を覗いてみたんだ。





【MIYUKI IWAGAKI】





名前かな……





[いわがき みゆき]





胡桃「誰だろ。」



そう私が呟いた時


背後から突然声が聞こえてきた。





カルト「松山さん,何やってるの?」





ビクッ!!!



誰もいないと思っていた私は凄く驚いて



[ガチャン!!!]



慌ててロッカーを閉めて


手に持っていた小さなノートをポケットに入れて振り返った。



胡桃「え,えっと……。」



そこにはあまり知らない男子生徒が


私を見ながら一人で立っていたんだ。



カルト「あぁ……自己紹介しないとね。僕はカルトだよ。まぁ,皆からそう呼ばれてるあだ名なんだけどね(笑)」





カルト……





彼を見た瞬間



私の『直感』が



何故かまた働き出していく。



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