6×6BLOCK【裏】


■不自然な景色 (1/1)

1日目では見えなかった景色。





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村上さんから2ーAに『サイト』がある事と『自己評価』についての説明を淡々と受ける私。


あまりよく理解出来ずに


ただ返事をするだけで


私の警戒心はどんどん強くなっていく。



村上「松山さん,わかりましたか?これはクラスを一つにする為なので,松山さんにもぜひ登録してほしいんです。もちろん,うちのクラス全員登録してます。」


胡桃「え,えっと……急に言われても。」



私が返事に困っていると


レイちゃんが自分の携帯を私に見せながら笑顔で言ったんだ。



怜香「胡桃ちゃん,大丈夫だよ(笑)私も登録してるし,怪しいサイトじゃないよ。登録すればクラスの情報が送られてくるし凄く便利なんだから。絶対登録した方がいいよ。」



自分の性格上


どうしても怪しく感じてしまう。


基本的にサイトとか登録しない主義だし,それに怪しい事はいつも避けてきた私。


だから


なかなか答えを出せない。



胡桃「う…うん。でも,なんか…あんまり乗り気じゃないっていうか…。」



そもそも何でクラスに専用のサイトとか必要なの?


学校の掲示板だって今は凄く問題になってるし


それに自己評価の意味もわかんない。


一人のクラスメートを評価するなんて変だよ。


という事は……私も誰かに評価されるって事?


そんなのマジで嫌。



胡桃「やっぱり,まだこのクラスに転入したばかりだし……ちょっと考えたいな。」


村上「そ…そうですよね。わかりました。いつでも登録は出来るので,また考えてから決めて下さい。」



村上さんがそう言い終わると,凄く残念そうに自分の席へと戻っていった。


レイちゃんも何故か難しそうな表情をしてる。



怜香「私は……オススメするけどな(笑)」


胡桃「………。」



私……


なんかマズイ事したかな。





ちょっと気まずい雰囲気を感じながら,1限目の授業へと入っていく私。


あまり勉強が得意じゃない私だけど,それを見せない様に授業をちゃんと聞いてノートをとって集中していく。


それにしても……


村上さんが言ってた事って本当なのかな。


そこまでする?っとか思っちゃう私は変?


わかんない。



そんな事を考えながら


1限目……


2限目……


3限目と授業が進んでいった。



先生「後藤さん…この問題わかりますか?」


後藤「はい。」



黒板の上の時計がカチカチと進み


優等生風の後藤さんっていう人が,黒板に問題の答えを丁寧な字で書いていく。


教室内はどの授業でもずっと静かなままで


まるで人がいないみたいに集中してる感じ。



胡桃「………。」



1日目では感じなかったけど


もしかして凄く真面目なクラスなのかな?


前の高校では恐い先生以外の時,よく皆でおしゃべりしたり携帯いじったりしてたけど……


そんな事も絶対しなさそう。


3限目のこの若い女の先生は特別恐そうじゃないし


うーん……


これが普通なのかな。



胡桃「集中しよ……。」



私はしばらく書くのをやめていた手をまた動かしていく。





そして……


時間がゆっくりと流れ


そんな中


私は授業の途中で不自然な空気を感じたんだ。










[ブー……ブー……ブー……]










突然,私の耳に携帯のバイブ音が微かに聞こえてきた。


それは全体から聞こえてきて


先生にはわからないような小さな振動音。



胡桃「?」



私は何故かその音が気になって


周りを見渡した。



先生「いいですか?私が今書いている所はとても重要なので,ノートに赤線でも引いておくといいと思います。ちょっと長くなるので待ってて下さいね(笑)」



先生が背を向けて黒板に書いている中


私の目に映ったのは


クラスメート全員が下を向く不自然な光景。


しかも


机の上の教科書やノートを見てる訳じゃなく,手の中に何かを机で隠して見ているようだった。



胡桃「………。」



携帯かな…。


でも


なんか不気味。


全員が同じ行動をするなんて……



不自然な光景に少し恐さを感じた私は,視線をゆっくりと前に戻そうとした


その瞬間だった。





胡桃「!!!」


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