6×6BLOCK【裏】


■2日目 (1/1)

2日目から始まる分かれた運命。気づかない胡桃と感じる未来。





朝日が窓から差し込み


乾燥した空気を肌で感じながら


目を覚ます私。


そして


新しい高校での2日目がスタートした。





朝食を軽めに口にして,私はまた未来と共に家を出て学校へと向かう。



未来「今日も暑くなりそう〜。」


胡桃「だね(笑)今日はバッチリ?」


未来「もちっ♪見て!見て!この髪♪」



ストレートになった髪をサラリと見せる未来。


その仕草がなんか可笑しくて自然と笑顔になる私。



胡桃「確かにバッチリだね(笑)うん。」


未来「あぁー,今日も蒼真くんに会えると思うとルンルンだね。私の運命の人♪」


胡桃「まだ言ってる(笑)」



未来が嬉しそうに飛び跳ねながら


私の前で幼い子供の様にはしゃいでる。


夏へと変わる景色も


これからの学校生活も楽しくなればいいな。


夏休みも早く来てほしいけど(笑)



未来「胡桃,ちょっとコンビニ寄ろ♪」


胡桃「うん。」


未来「そんなにゆっくり歩いてると置いてくよ!」


胡桃「未来,速いよ。ちょっと待って!!」



未来がはしゃいで歩くスピードを上げた瞬間だった…





[ドンッ!!!]





よそ見をしていた未来が,目の前を歩いていた同じ高校の男子生徒にぶつかってしまう。



未来「イタタタ……。」


胡桃「未来,大丈夫?」



倒れた未来の元に駆け寄る私。



未来「なんとか大丈夫。」



そして


視線を前に向けると


夏服の後ろ姿が見えて


その男子がゆっくりと振り返り


私たちを睨みつけながら言ったんだ。





圭介「ちゃんと前見て歩けって。お前ら,マジで殺すぞ。」





この人って……


2ーAの教室にいたよね。


確か…うちのクラスの男子。


角の席に座ってた……



胡桃「ご,ごめんなさい!」


未来「ちょっとぶつかっただけなのに殺すはないと思うけど。」


圭介「はぁ?テメェ……」



未来がその場の空気を全然読まずに火に油を注ぐ。



胡桃「違う!違う!未来が鈍臭いから,本当にごめんなさい。」


未来「わっ,私が鈍臭い!?」


圭介「チッ……。」



その恐そうな雰囲気の男の子は


舌打ちをして静かに歩いていった。



未来「何あいつ?マジでムカつくんだけど。私…あんな奴が1番嫌い。」


胡桃「未来がよそ見してぶつかったんだよ?そんな風に言ったらダメだよ。」


未来「だって……。」



朝からちょっと気まずい空気を作っちゃったけど,私たちは気を取り直して学校へとまた歩き出した。



そして


未来と廊下で分かれて


私は緊張感をまだ感じながら2ーAの教室へと足を踏み入れたんだ。





「松山さん,おはよ〜。」


「おっはー♪」


「おはよう!」





皆が笑顔で挨拶してくれて


私もそれに笑顔で返事をしていく。



胡桃「おはよう。」



意外にすんなりクラスへと馴染みそうな空気を感じながら,私は自分の席へと歩いていった。



怜香「胡桃ちゃん,おはよ。」


胡桃「おはよ,レイちゃん。」



鞄を机に置いて,椅子に座った私は教科書を取り出していく。



怜香「今日も蒸し暑いよね(笑)」


胡桃「うん,暑い(笑)」



まだレイちゃんに壁を感じながらも会話をする私。


今日は2日目。


少しずつ友達も増やしていかないとね。


頑張らないと!



そんな気合いを入れつつ,私が1限目の準備をしている時だった。





村上「松山さん,おはようございます。」





私は後ろから聞こえた丁寧な挨拶に少しだけ驚く。



胡桃「?」


怜香「………。」



体を横に向けて振り返ると


そこにはいかにも真面目そうな姿の女子が立って私を見ていたんだ。



胡桃「あっ,あの……おはようございます。」



思わず敬語で挨拶をしてしまう私。



村上「私は学級委員の村上です。よろしく。」



学級委員……


うちのクラスの?



怜香「村上さんは2ーAのリーダー的存在の人だよ。」


胡桃「そうなんだぁ…。」



確かにそんな雰囲気が出てるかも。


なんか気難しそうだけど。



村上「松山さんは昨日からこのクラスに来たので,全然知らないですよね?」


胡桃「………。」


村上「だから,うちのクラスの事をちゃんと説明しとかないといけないって思って。」



説明?


村上さんのおかしな言葉にちょっと動揺していく。



村上「何も深く考えなくていいです(笑)より良いクラスにするためのものですから。」



より良い



クラス……





―――――――――――――――――――





私は教室に入った瞬間


君の姿を探して近寄っていく。



未来「おはよ♪」


蒼真「またお前かよ。」



君は私の言葉に反応して視線が合わさる。


何故か私には君の心の声が聞こえる気がした。



葉月「未来ちゃん,おはよ(笑)」


未来「………。」



きっと運命だね。


絶対そうだよ。



葉月「し,シカトかよ!?まったく俺が視界に入ってない!!」



君の姿を見つめる私。



蒼真「あのさ…早く席に座ったら?」


未来「うん♪じゃあまたね(笑)」



私は君の匂いを感じて


新しく生まれた1日をスタートさせた。



葉月「蒼真,かなりラッキーじゃね?未来ちゃんって可愛いしさ。俺のもろタイプかも。」


蒼真「馬鹿かって(笑)あんなタイプは論外。それに女は腐るほどいるし。」


葉月「よく言うわ(笑)そんな事してるからいつも修羅場なんだろ?モテるとろくな事しないな(笑)」


蒼真「うるせー。」



私にはわかるよ。


きっと君は探してるんだよね。


失ったものをさ。


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