6×6BLOCK【裏】


■運命の人宣言 (1/1)

初日から加速する未来。初日から失速する胡桃。





蒼真「ちょっとその感じ,マジで暑苦しい…。」


未来「初夏だしね♪」


蒼真「そ,そうじゃなくて…。」



松山未来……


自己紹介からおかしかったけど


マジでかなり変わってる奴。



未来「暑いならシーブリーズ貸してあげよっか?実は汗かき?」


蒼真「いや,いらな……」


未来「さっきの泣いてた女の子って元カノ??最近別れたの??」


蒼真「………。」



答える隙さえ与えない質問の雨。


なんだコイツ……


俺が痛めた頬を摩りながら平然とした顔をして見ていると


突然,彼女が俺に顔を近づけて


指を差しながら言ったんだ。



未来「そう♪その感じ(笑)女の子からビンタされても平気な感じ。めっちゃ私のタイプです♪」



開いた口を閉じる暇さえ与えない。



蒼真「………。」



変わってるというより


完全にイカレてる。


いや……


そういえば俺もさっき同じ様な事をしてたっけ


なら,ふざけてる?



蒼真「あのさ,今日転入してきて何がわかんの?俺はそんなに暇じゃねぇーから。」



そう俺が言うと


彼女は両手を腰に当てて


自信満々に言い放ったんだ。



未来「それがわかるんだよね♪私にはビビっときてるの。君は私の運命の人だってね。」



クラスメートたちの視線が無惨にも俺と彼女に集中して口々に会話してる。



「ねぇー,松山さん何やってんの!?」


「なんか蒼真くんを運命の人とか言ってるよ!」


「ま,マジで!?」


「何でよりによって蒼真くん?」


「うちらは皆,本性を知ってるのに…。」


「てか松山さんって転入してきたばかりなのに凄くない?」


「まさか天然?」



マジで最悪な状況。


こんな空気が1番嫌いな俺。


俺はこの状況を早く抜け出すために


とぼけたフリで返事をしていく。



蒼真「えっ?誰?後ろの葉月の事?葉月,起きろって。転入生がなんか言ってんぞ。」


葉月…すまん。



葉月「あぁ……なんだよ?蒼真,起こすなって。」



でも


彼女は笑顔で俺を指差してまた言うんだ。



未来「君♪君♪」



君って……



蒼真「俺は『君』じゃなく新垣蒼真って名前があんだけど…。」


未来「よし!!覚えた♪」



マジで何なんだ…コイツは。



未来「よろしくね♪」





―――――――――――――――――――





胡桃「ふぅー…。」



トイレを済まして手を洗う私。


落ち着いて胡桃!!!


初日そうそう変な奴に会ったっておかしくないよ。


ただ


女子トイレに入っても彼の残像が全く消えてない。


さっきの男子はただの変な奴。


ただのチャラ男!!!


そう思う事にしよう。


うん。



胡桃「よし…。頑張ろ。」


怜香「胡桃ちゃん…どうかした?」



あまりの動揺で


周りに人がいたなんて全く気づいていなかった私。


驚いてどぎまぎしてしまう。



胡桃「あっ!?な…何でもないよ(笑)」



かなり不自然。



怜香「そっか……。もうそろそろ次の授業が始まるよ。行こっ。」


胡桃「う,うん。」



レイちゃんと共に教室へ戻った私は


さっきの出来事を忘れるかの様に


その後も普通に授業を受けていく。


特に親しい友達もレイちゃん以外出来る事もなく,時間が過ぎていったんだ。





そして


放課後を知らせるチャイムが鳴って


私は未来と合流して一緒に学校を出て家へと帰っていた。



未来「胡桃!!どうだった?」



何故か楽しそうな未来。


テンションの違いに困惑気味な私。


初日にチャラ男みたいな変な奴に会って一日調子が狂っちゃったし。


なんか微妙な一日だったなんて言うのもめんどくさくて


私は適当に返事をする。



胡桃「ボチボチかな。未来は?」


未来「私ね,運命の人に出会っちゃった。かなりイケメンで裏がありそうな男子♪B組で1番目立ってた人。」



初日で!?


未来は何やってんのかな。


呆れながらB組の廊下で起きた出来事を思い出す私。


まさかとは思いつつ聞いてみる。



胡桃「金髪の人じゃないよね?」


未来「当たり!!!胡桃,なんで知ってるの?魔術?」



やっぱり……


まさかの正解。


こんなにも外見は似てるのに世界がまったく違う事に今更驚きもしないけど。


でも


まさかあのチャラ男が運命の人だなんて……



未来「それなら話は早い。新垣蒼真って名前なんだけど…その人ね,マロンと同じ目をしてたんだよ♪きっと運命だね(笑)」


胡桃「………。」



マロン……



そっか


未来はまだ想ってたんだ。


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