小川くんの場合
[怪しい雲行き](1/24)
その後は平穏な日々が続いた。
石川がなだめてくれたのもあってたまには4人での飲み会も開催されたりしながら。
そう思っていたのだが……
最近の賢一さんは疲れている。
仕事から帰ってくると溜息をつきながらネクタイを外す。
それもまた様になってるんだけど。
……ってそうじゃない。
ぐったりというかげっそりした顔をしていて心配になって大丈夫か聞いたことがあったが
「少し仕事が立て込んでいてね。……疲れてるんだ。心配してくれてありがとう。大丈夫だから。」
と言われたので少し様子を見てみることにした。
しかしそれは2週間…3週間と続くと流石に心配になる。
仕事がそんなに忙しいのか。
今までだって忙しそうな時はあった。
帰ってくる時間が遅い日が続いたり。
けど今回はなんだか疲れ方というか…様子が変だ。
「ねぇ、賢一さん。……ホント大丈夫?」
「……うん。大丈夫だよ。」
「仕事、そんなにずっと忙しいもんなの?少し休んだら?」
「ありがとう。本当になんでもないんだ。大丈夫だから。」
と言われて。
「賢一さん!全然大丈夫じゃないじゃん。なんで大丈夫って言い張るんだよ?……俺には仕事のことなんて相談しても仕方ないから?……そりゃ……賢一さんみたく仕事できるわけじゃないけどさ……。けど、心配くらい……させてよ。」
とここ最近溜め込んでいた気持ちを伝えると
「ごめん。……もう少し、もう少しでどうにかするから。だから、ごめんね。……心配かけて、ごめん。」
と言われた。
どうあっても教えてはくれないらしい。
けど“もう少し”という賢一さんの言葉を信じようと思うことにした。
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