ラベンダーガール  実にそんな気がしてくるだろ(2/6)





俺は、教室を見渡した。

みんな面白がって
にやにや笑っていた。まじで?

若干一名、
さきほど俺が「ちょっとどいてね」と
言った女の子はまあわかりやすいほど
憮然とした顔だった。

機嫌を悪くした17歳の女ほど
面倒なものはないから放っておこう。



俺は、トトを廊下まで引っ張って
声をひそめて言った。



「ふつう、言うだろ?」



トトは爆笑した。

「言わねーよ!」だと。



「ミキにもついに春がきたなあ」


「うるせえ」


「祝福するよ、俺は。

ミキの独占状態が崩壊するんだ。

やっと、この学年の恋愛市場の
供給バランス(男子目線)が保たれる」



おまえ彼女いるくせになに言ってんだ?


俺はトトに向かって、
「まあ、待て」と手を出した。


「悪いけど、俺は
あの子に恋しているわけじゃない」


トトは「は?」と首をひねる。

「なに言ってんですかね?」みたいな。


「じゃあ、ミキって、
誰にでもああいうこと言っちゃうのか。

確かにおまえは、
特定の恋人をつくらないまま、
気持ち良いほど見事に女子たちを囲い込む、
救いようのないタラシ男だけども、

そういうことばかりしていると
いつか痛い目に遭うぜ」


「おまえの勝手な見解を
ぺらぺらと喋るんじゃねえ」







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