ラベンダーガール  実にそんな気がしてくるだろ(1/6)










トトとは?


突然登場してしまったがため
説明不足で申し訳ない。

補足しておこう。

彼は、十時雅彦(ととき まさひこ)という青年で
れっきとした日本人だし、

俺と同じクラス、同じ部活に所属する
友人である。

俺が、このクラスで
とりわけ仲良くしている男を挙げるなら
トトになるんだろう。

(なんでこんな言い方をするのかというと、
俺はクラスメートの誰とでも
仲良くしているからだ。たぶんね。)


十時青年は、
口を開けば永遠に喋るような男だ。

ダンスとギターと歌ができるから
そのうち芸能界に
はいっちゃえばいいと思う。

ジュノンボーイの書類審査も
通過したことあるし。
(そのあと落選した。)


まあいい。

めいがクラスメートたちと
グラウンドから去ってしまうと、

俺はトトに向かって目を細めた。


トトは、
肩をふるわせて笑っていた。



「おまえ、俺に
言いたいことがあるようだな?
でも俺だってきみに言いたいことがある」


「あるねえ。ミキくん。
まったく突然ああいうことされちゃ困るよ。

でも、今一番に
なにを言いたいかって言うと、

おまえほどの男に
『会えて嬉しいよ』と言われたのに
表情ひとつ変えない美少女がいることに

このクラス全員が
のけぞってるってことだな」








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