ラベンダーガール  エスパーなの…?(7/7)





俺がそう言ってから
空気の流れる音が聞こえるのじゃないかと
思うくらい、
ひどく悲しい静寂が訪れた。

星野は立ち止まり、
俺も立ち止まり、

星野は信じられないものでも見るかのように
俺を見上げ、
俺はこのうえなく申し訳無い心持ちで
後輩を見下ろした。


「ミキ先輩は、
エスパーなの?」


そのまま失神してしまいそうなほどの
か弱さで星野は震えながら言った。


「まじでか


俺は、かしっと、
自分のえりあしをこすった。

すると、
星野は俺の
もう片方の手をにぎった。

両手で。

びっくりするなあ、と
俺は思いながら
美少女を見つめた。


「ああ、あの
誰にも言わないで!」

……
俺は言わないけどさぁ」

「お、お願いします



俺はなんだか
目の前にいる女の子が
すごくいたたまれなくなってきた。



「そんなに好きなのかよ常田が」



俺がぽつんとそう言うと、
星野はこくんと頷いた。



「だめかしら

「あー
まぁ、それに関しては
いいんじゃないか?」



好きになってしまったんだから、
仕方がない。

愛なんて
どうせそんなものだろう。






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