明智天正記
[1545年](1/18)
1545年、美濃国
光一は気を失っていた。
「おい!光一!!光一!」
利行に身体を揺すられ、光一が目を覚ました。
光一は目をこすりながら周りを見渡す。
「すげーーよ!多分マジで昔っぽい!」
利行が言う。
周りの山の形、その辺は多分本当に各務原市なのだろう。
しかし、何も建物がなく、雑草と田園風景が広がっている。
「まじで?」
光一が利行の顔を見る。
「多分マジ。」
利行がどこで拾ったか分からない木の枝で光一をつつきながら言う。
「うわぁ。何にもねーな。とりあえずどーするよ?」
光一が言う。
「とりあえずさぁ。」
利行はそう言うとリュックサックから古地図を元に作られた地図と方位磁石を取り出した。
「名古屋?尾張だっけ?そっちに行けば良いんじゃね?鼻水たらしてるガキの信長見つけて、殺せばミッション完了やん?」
利行が言う。
「なぁ。いざ現実になって思ったんだけどな。人殺せんの?俺ら。」
光一が言う。
「無理。それ光一の仕事。」
利行が苦笑いをする。
「絶対イヤ!」
光一が顔を伏せる。
「なぁ。そこまで考えなかったわ。まず人を殺せーねわな。」
利行が頭をかきむしる。
「まず高橋先輩探す?」
光一が言う。
「あ!それが良いね!」
利行が言う。
「で、杉谷なんだっけ?それが高橋先輩なんやろ?その杉谷なんちゃらは何処にいんの?」
光一が言う。
2人の間に沈黙が生まれる。
「調べ忘れた。」
利行が言う。
「やってもーた。しかも年代一緒なの?」
光一が言う。
「やってもーた。黒田さんと菅沼さん、そこまで考えてたのかな?」
利行が言う。
「あー!そういえばノートに書いた!」
そう言うと光一はリュックの中から事前に勉強して色々書きためたノートを取り出し、何ページかをめくり始めた。
「あった!杉谷善住坊!」
光一が言うと利行はノートを覗き込んだ。
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