Choice01
[第九章 疑心](1/3)


パーティールームに戻った四人は、待機組を仕切っていた九条、山村と互いに情報交換をした。

皆沈んだ表情をしている。
無理もない…昨日まで人一倍笑顔で、馬鹿みたいに騒いでいた愛美がいないのだ。

容子はもちろん美夢も泣いている。
順平にも椿にも、涙の跡がある…。

皆、悲しく…そして恐ろしいのだ…。

頭の中はまだ混乱しているだろうが…本能的に理解している…この島に『殺人犯』が居ると…。

九条が言った。
「そうか…やはり他殺か…でも拳銃って…」

葵が言った。
「可能性はいくつもありますが…山村船長、船に乗っていたのは僕たちが12人で間違いありませんね?」

山村が答えた。
「はい、間違いありません…私達以外の人間が船に乗り込んだらセンサーで反応するようになっています…」

「なるほど…まぁ仮にセンサーが故障して、誰が乗り込んで…一緒にこの島に来たとしても、誰にも気付かれずに2〜3日も、潜伏するのは…この狭い敷地では不可能ですね…」

有紀が言った。
「だとすると…我々の寝静まった夜にこの島にやって来たと?」

葵は言った。
「可能性は無くはないです…」

歩は言った。
「しばらくは…団体行動だな…」

するといつもは大人しい順平が声を荒げた。
「冗談じゃないっ!この中に犯人が…いるかもしれないんすよっ!」

九条があわせて言った。
「順平君…少し落ち着いて…」

順平は引かない。
「落ち着け?よく言えますね?俺はこの旅に一人で参加しました…あんた達と違って…」

葵は順平に言った。
「順平君…少し落ち着いて…。では?君はどうしたいんですか?」

順平は葵を睨み付けて言った。
「自分の身は自分で守りますっ!」

葵は言った。
「籠城でもするつもりですか?」

「ええ…幸い食料は腐るほどありますし…必要な物は隙を見て転送倉庫に取りに行けばいい…」

葵は順平に言った。
「今ここで勝手な行動を取れば…君は容疑者ですよ」

順平はバカバカしいと、いった表情で葵に言った。
「じゃあ俺が犯人だと言う証拠をだしてよっ!」

葵はあっさり言った。
「証拠はありません…」

「そりゃそうだよっ!俺に拳銃を持ち込めるわけがないっ!」

そう言うと順平は食糧庫に行き、保存食をかき集めた。

自分の部屋に戻ろうとする順平を、九条は抑えようとしたが、それを振りほどき…順平は部屋へ戻ってしまった。

有紀はパーティールームの入口で、順平が部屋に入ったのを確認して言った。
「順平は、部屋に無事に戻った…」

九条が言った。
「やれやれ…まぁ、彼が疑心暗鬼になるのも無理はない…」

歩が九条に言った。
「言ってる場合かよっ!今こそまとまるべきだろっ!」

今まで黙っていた光一が言った。
「確かに団体行動は必要だが、無理がある…」

九条が言った。
「どういう事です?堂島さん?」

光一はゆっくり言った。
「別に反対している訳ではないが…四六時中は無理だ…寝る時は?風呂は?トイレは?」

葵がいつもの髪をクルクル回す仕草で、言った。
「堂島先生の言う事も一理あります…」





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