パーティールームに戻ると皆は既に昼食を終えて、ティータイムを楽しんでいた。
葵に気づいた美夢は駆け寄って来て、少し文句を言った。
「あんたに協調性が無いのは、よぉ〜く知ってるけど…昼食くらい、皆で食べなさいよ!有紀さんまで付き合わせて…」
葵は目をつむりそっぽを向いている。
こんなやり取りはいつもの事だが…有紀は葵をフォローするように言った。
「まぁそう言うな、美夢…彼はじっとしてられない性分なんだろ?それは美夢が一番理解してるんじゃないか…」
「でも有紀さんまで…」
有紀は申し訳なさそうな美夢の頭をポンと叩き、優しく言った。
「私の事は気にするな…私も葵と同じように、じっとしてられなくてな…」
有紀が美夢をあやしたところで…歩と九条が葵の所に寄ってきた。
九条が言った。
「どうだったい?」
葵は少しため息を付いて言った。
「ふう…プールはもう使用して頂いて結構です…ただ、医務室に関しては有紀さんに同行してもらって下さい…まぁ、怪我の無いよう注意していたら…医務室を使用する必要はありませんが…」
九条が皆に言った。
「皆…プールはもう準備出来たようだよ!もう…使用してくれて構わない…」
九条から許可が出たことによって、愛美が言った。
「使っていいってっ!容子、順平…行くわよ!」
そう言うと愛美は容子と順平を引き連れて、プールに向かう準備のため、パーティールームを出ようとした。
出際に愛美は美夢に声をかけた。
「じゃあ美夢ちゃんも行こっ!よかったら『葵っち』もどう?」
葵は目を丸くして言った。
「葵っち?…」
珍名を付けられて少し戸惑う葵を、気にせず…愛美は言った。
「せっかくのバカンス…楽しまなきゃ損よ!」
美夢は諦め顔で言った。
「愛美さん…ダメですこいつは…」
葵は美夢に言った。
「用がすんだら僕も行く…だから先に行ってくれ…」
「あんた…どうしたの?」
美夢は驚いている。
葵は言った。
「女性三人に男性が順平君一人では忍びない…だから先に行ってくれ…それとも僕がプールに行くのはダメなのか?」
「ううん…ただ、珍しいなぁって…まぁいいや、じゃあ後でね!」
出て行こうとする三人にと美夢に葵は言った。
「因みに今日から広場に、鉄製のボックスが設置してありますが…くれぐれも触らないように…」
美夢が聞いた。
「わかったけど…なにそれ?」
有紀が言った。
「ただの廃棄処理用のボックスだ…触るなと葵が言ったのは不衛生だからだ」
四人は顔を見合わせて、美夢が言った。
「わかりました…じゃあ葵、また後でねっ!」
そう言うと美夢はご機嫌な様子で他の三人と出て行った。
出て行った四人に続く用に堂島夫婦が出て行き…葵と有紀の昼食を残して、椿がテーブルの後片付けを始めた。
葵が言った。
「では…昼食をいただきましょうか…」